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2017年09月30日19:32

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四人の中将君-中将の君(3)

岩波書店の新日本古典文学大系(青大系)の『源氏物語索引』の中の作中人物一覧を見ると、源氏物語には4人の「中将君」(ちゅうじょうのきみ)が登場することが分かる。便宜的に4人にA〜Dの符号を付けると、次のようになる。

■中将君A
「空蝉」の侍女であり、「帚木」帖に登場する。

■中将君B
「朝顔姫君」の侍女であり、「賢木」帖に登場する。

■中将君C
「浮舟」の母であり、「宿木」帖から「夢浮橋」帖まで登場する。

■中将君D
「光源氏の、のちに紫上付きの侍女」。
「葵」「須磨」「澪標」「薄雲」「初音」「若菜上」「幻」の各帖に登場する。「須磨」と「澪標」では「中将」と、他では「中将君」と表記される。


西沢正史が編集した『源氏物語作中人物辞典』(東京堂出版)は、30人の「主要作中人物」と31人の「脇役人物」を取り上げるが、そこでは中将君「C」だけが取り上げられていて、A、B、Dの名前は見えない。

僕が以前の日記で取り上げた「中将君」は、「D」だ。
つまり「脇役」でさえない登場人物ということになる。
確かに、ストーリーの中での重要性という点では、Cの「浮舟の母」が際立つかも知れない。
しかし、前に記したとおり、光る源氏の生涯における関与の度合いという意味では、Dの侍女にも相応の重要性があるように僕には思われる。


なお、源氏から中将君Dへの関与ということでは、「澪標」に「なさけを見え給ふに」とある。

■中将の君
(1)つみおかすべき(2017年07月17日)
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(2)まいりすさびて(2017年07月22日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1961667712&owner_id=2312860

■関連する日記
・源氏物語における七夕(2017年07月14日)
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・幻の帖の和歌(2017年07月15日)
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