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2026年10月13日18:50

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「ディガー」アレハンドロ・G・イニャリトゥ〜あなたはこの茶番劇を笑えるか!?〜

痛快な茶番劇であり、怪作である。あなたは、この茶番劇を笑えるか?予告編を見て面白そうだったので、劇場にて鑑賞。主演はトム・クルーズ。トム・クルーズの印象的な作品で、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『マグノリア』(1999)がある。トム・クルーズはセックスの伝道師のような役を演じていて、なかなかユニークだった。あの映画では無数のカエルが空から降ってくる奇妙なシーンがあった。本作のラストもカエルの大合唱だ。冒頭は虫やカエルの自然の音と星空で静かに始まり、ラストは劇伴の音楽が途中で消えて、虫の声とカエルの声が大きく鳴り響く。カエルの声が災害を知らせる警告音にも聴こえ、人類を不気味に嘲笑っている声にも聴こえる。

メキシコの名匠アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督は、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)、『アモーレス・ぺロス』(2000)、『バベル』(2006)、『21グラム』(2003)などを見ているが、本作は徹底したパロディであり、痛快で皮肉な風刺劇でコメディだ。私は終始笑いながら観ていたが、最後にちょっと笑えなくなった。

石油採掘会社のCEOとして君臨する傲慢な権力者、ディガー・ロックウェルをトム・クルーズが演じている。「掘って、掘って、掘りまくれ!」と誰かさんのように、石油エネルギーを求める全世界のために、環境破壊しまくりながら、経済的な利益のために石油を採掘し続ける。祖父が最初に油田を掘り当てた古びたスコップを片手に、世界滅亡の危機から立ち上がる・・・。ヨーロッパでのディガーの演説は鬼気迫るもので、圧巻である。カウボーイハットを被って、「バン!バン!バン!」と地球を救う狂気じみた西部劇のヒ−ローさながらである。赤いネクタイ姿の大統領も登場する。コンプソン大統領(ジョン・グッドマン)は、お尻のガンを患っており、自らの身体と環境汚染で病んだ地球そのものを重ね合わせる。ロシアや中国への核兵器のボタンを押そうとするヤケクソの狂気まで描かれる。

ディガーは「言葉が認識を作り、認識こそ現実だ」と言うが、ガネシュ博士(リズ・アーメッド)は「認識は現実ではない。認識はただの認識だ」と反論する。自然も地球も思い通りに征服し、現実を見ようとせずに都合のいい認識で乗り越えようとする愚かな人間たち。自然の世界だと思われたものが、作られたセットであるように、すべては見せかけの作り替えられる時代が到来している。事実はフェイクで覆われ、真実は見えずらくなっている。この映画の構造そのものもメタ構造になっており、そのことに観客も驚かされるが、死を演じさせることで留飲を下げ拍手喝采をしている場合ではないことを、最後に警告音とともに観客に突き付けてくる。


2026年製作/129分/G/アメリカ
原題または英題:Digger
配給:東和ピクチャーズ、東宝

監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ
製作:アレハンドロ・G・イニャリトゥ、メアリー・ペアレント、トム・クルーズ
製作総指揮:ジョシュア・グローデ
原案:サビーナ・バーマン、アレハンドロ・G・イニャリトゥ、ジェズ・バターワース
脚本:アレハンドロ・G・イニャリトゥ、アレクサンダー・ディネラリス、ニコラス・ヒアコボーネ、サビーナ・バーマン
撮影:エマニュエル・ルベツキ
美術:デニス・ガスナー、リチャード・L・ジョンソン
衣装:ジャクリーン・ウェスト
編集:コナー・オニール、スティーブン・ミリオン
音楽:コスモ・シェルドレイク
キャスト:トム・クルーズ、リズ・アーメッド、ジョン・グッドマン、ザンドラ・ヒュラー、ジェシー・プレモンス、マイケル・スタールバーグ、ロバート・ジョン・バーク
☆☆☆☆4
写真引用コピーライト 2026 WBEI and Legendary
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