WOWOWの初期無声映画の新音声版として風吹ジュンと佐野史郎が字幕の声をつけている。この原作者名のエルンスト・シュワルツは、小津が作り出した架空の名だそうだ。なかなかに暗い話である。タイピストをしている姉ちか子(岡田嘉子)は、学生の弟・良一(江
今の「やさしい時代」を映すドラマだった。いや「やさしさを求める時代」だ。「波風立てない」、「いさかいを極力避ける」人間関係。無理して人間関係は合わせてばかりいるから居場所がない。逆に言えば、それだけ息苦しい時代なのかもしれない。「同じ」であ
ネタバレしないように書いていますが、映画をご覧になってから、読むことをオススメします。市子(杉咲花)が最初と最後で口ずさんでいた歌は何だったろう?と気になって調べたら、「にじ」という歌だった。30年前に生まれ、いまでも保育の現場や小学校などで
舞台上は何もない。段ボール箱が片隅に一つあるだけ。そこへシルクハットをかぶった一人の紳士がやって来て、段ボールに腰掛けようとする。すると段ボールが壊れて男がコケる。笑いが起きて、もう一人の紳士が現れて芝居が始まる。「そこに段ボールを置いた奴
話題作、北野武の6年ぶり新作である。編集段階で原作・製作のKADOKAWAと契約トラブルになり、一時は公開が危ぶまれたらしいが、無事公開となった。初期のころの北野武映画、『ソナチネ』や『3‐4×10』、『HANA-BI』あたりには、死の気配が映画全体に充
ヤジとはノイズである。ノイズが何もない社会は怖い。みんなが同調し、同じ考えしか持っていない社会になったら、究極の管理社会のディストピアである。ノイズは確かにうるさい。黙って聞け!と言いたくなる気持ちもわからないではない。しかし、ノイズとして
新しくできたススキノの東宝シネマズすすきの<Dolby Cinema>で鑑賞。迫力ある映像と音を体感できた。昭和のゴジラを描いているというので期待して観たのだが、それなりに面白かったものの、やはり物足りなさは残った。いちばん気になったのは、ゴジラがご都
「ロバート・アルトマン傑作選」として映画上映があり、初期に手がけた「女性映画3部作」の第1作と言われているのが、この『雨にぬれた舗道』。ロバート・アルトマンは群像劇というイメージが強く、これまで多くの傑作を見てきた。有名な作品としては『M★A★S
札幌のクリエイティブスタジオで行われた「シネマシリーズ-6 映画へと導く映画」というイベントに参加した。『あのこは貴族』で注目された岨手由貴子監督が来札。岨手監督が選ぶ映画を2本セレクト上映して、その映画について語るというものだ。岨手由貴子監
札幌のクリエイティブスタジオで行われた「シネマシリーズ-6 映画へと導く映画」というイベンで岨手由貴子監督が選び上映された沖田修一監督の自主制作映画『おーい!どんちゃん』。「どんちゃん」とは沖田修一監督の愛娘で、生後半年(2014年)からカメラを
「輝く季節を軽やかに大胆に切り取るジャック・ロジェの才能に、ヌーヴェル・ヴァーグの象徴であるゴダールは絶賛し、トリュフォーは嫉妬したという逸話をもつ」と公式HPで紹介のあるジャック・ロジエ監督の最後の作品である。日本では劇場未公開の作品だった
2016年7月26日、神奈川県相模原市にある知的障害者施設「津久井やまゆり園」で元職員の男が入所者ら19人を殺害、26人に重軽傷を負わせた事件が起きた。この事件を題材に映画化したものが本作『月』だ。作家の辺見庸がすでに2018年、長編小説『月』(KADO
これは恐ろしくわかりづらい映画ながら、恐ろしく美しくせつない映画でもある。失われた家族の幸福、その欠落感、喪失感を描いた映画にどうやら私は弱いようだ。ヴィム・ヴェンダースとサム・シェパードによる傑作『パリ、テキサス』、最近のものでは、父と娘
村上春樹は自ら本書の「あとがき」に書いているように、「同じ物語」を書いているのだ。本作もまたこれまで書いてきたものの繰り返しである。〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ホルヘ・ルイス・ボルヘスが言ったように、一人の作家が一生のうちに真摯に
範宙遊泳 作・演出 山本卓卓(すぐる)出演:埜本幸良 福原冠 井神沙恵 入手杏奈 植田崇幸 細谷貴宏クリエイティブスタジオ(札幌市民交流プラザ3階)にて2023年9月22日観劇2022年「第66回岸田国士戯曲賞」受賞作だ。東京の人気劇団の公演が札幌である
関東大震災直後の混乱期に起きた朝鮮人差別がキッカケで起きたデマ・流言による村人たちの虐殺事件を描いた問題作だ。オウム真理教の内部に密着した『A』や佐村河内守氏の「ゴーストライター問題」を題材にした『FAKE』など、センセーショナルな社会派ドキュ
エドワード・ヤンの遺作となってしまったこの『ヤンヤン 夏の想い出』は、まぎれもなく『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』と並ぶ傑作であり、エドワード・ヤンの名前をアジア映画史に刻む忘れられぬ作品となっている。残念ながら映画館では観れて
北海道文学館での生誕120年・没後60年「小津安二郎 世界が愛した映像詩人」という特別展の一環として無声映画観賞会『突貫小僧』と『出来ごころ』が札幌エルプラザにて、澤登翠さんの活動映画弁士つきで上映会があった。「突貫小僧」は、最近16ミリフィルム
国際密輸組織“香港−東京0ライン”の謎にいどむ二人の青年記者。極東新聞の記者の長門裕之は犯罪組織の情報屋からネタを入手して、いち早く現場に居合わせてスクープを連発している。親友の日東新聞の記者、小高雄二はその長門裕之の汚いやり方に怒りをため
マイミクのnaoさんのおススメで読んだ。面白かった。時代劇研究家で、時代劇に関する著書も多い春日太一氏による東映京都撮影所の疾風怒涛の歴史物語だ。作品論や監督論ではない。時代とともに変化しながら映画産業を守り続けてきた東映の苦闘の歴史であり、
鈴木清順の1960年の白黒アクション映画。地味なキャスティング。渡辺美佐子が若い。小沢昭一が若いチンピラ役で出ている。護送車が襲われ、看守長の多門(水島道太郎)に停職命令が出されるが、自ら犯人探しに乗り出す。この多門のキャラクターが曖昧で弱く、
映画や映像を作る人、特にフィクションを演出する若い人にはぜひ読んで欲しい「演出術」に関する本だ。そしてこの本は、映画を観るにあたってもとても勉強になる本だと思う。役者を演出するにあたり「動線」という考え方がある。役者をどう動かすかということ
小林旭と高橋英樹の兄弟もの。ヤクザから逃れようとして逃れられない兄と弟の宿命。親父がヤクザの抗争で自宅で殺し屋に刺された。母親は、幼い息子たちを堅気にしようと育てた。しかし、息子たちは堅気になろうとしてなれず、母親の思いを裏切ってヤクザとの
公開時に映画館で観てレビューも書いた (https://hideyosi719.blog.fc2.com/blog-entry-1578.html) のだが、一部で眠ってしまったので、WOWOW放送があったので、もう一度見直した。これはSF映画なのか?爆発音のような奇妙な音、幻聴、記憶、時間、死、不
鈴木清順の1956年デビュー作。鈴木清太郎という本名でクレジットされており、鈴木清順と名乗るようになったのは、 『暗黒街の美女』 (1958年)からのようだ。鈴木清順は松竹の大船撮影所で助監督として映画界に入り、1954年に製作を再開した日活に移籍。デビ
映画批評や文芸批評で有名な蓮實重彦は、その毒舌で知られているが、影響を受けた人間やファンも多い。 彼の『伯爵夫人』が三島由紀夫賞を受賞し、「馬鹿な質問はやめていただけますか?」とその不機嫌な会見が話題となった。蓮實より2歳年上の筒井康隆もまた
村上春樹の新刊が話題になっているが、まだ読んでいなかった『猫を棄てる 父親について語るとき』が文庫になっていたので読んだ。村上春樹が実の父親のことで記憶していること、父親の戦争体験なども調べて、考えたことをエッセイにしてまとめたものだ。「あ
平田オリザが日本近代文学者50名を選んで、中学生でも分かるような平易な短い解説で紹介している。朝日新聞読書面の連載「古典百名山」を元に加筆修正したものだ。高橋源一郎の「日本文学盛衰史」を原作として平田オリザが戯曲化した青年団の舞台(青年団『
東出昌大という俳優は何を考えているのかよく分からない不思議な人だ。黒沢清の『予兆 散歩する侵略者』では、不気味な宇宙人にピッタリだったし、濱口竜介の『寝ても覚めても』では、女性が夢中になる瓜二つの二人の男も見事に演じていた。何を考えているの
キネマ旬報のベストテンが発表された。日本映画第1位(日本映画作品賞) ケイコ 目を澄ませて ○第2位 ある男 ○第3位 夜明けまでバス停で第4位 こちらあみ子 ○第5位 冬薔薇(ふゆそうび)第6位 土を喰らう十二ヵ月第6位 ハケンアニメ!第6位 PLAN