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2026年09月09日16:51

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「ギルダ」チャールズ・ヴィダー〜リタ・ヘイワーズをセックス・シンボル女優にした映画〜

リタ・ヘイワーズを見たくて本作『ギルダ』を見た。リタ・ヘイワーズは、本作でフィルム・ノワールで運命の女(ファム・ファタール)ギルダを演じ、セックス・シンボルとして絶大な人気を誇ったと言われている。翌年に撮られたオーソン・ウェルズの『上海から来た女』(1947)で、リタ・へイワーズの魅力をすでに確認していたので、当時オーソン・ウェルズの妻でもあり、彼女がセックス・シンボルとまで言われるようになった本作は見ておかねばなるまい。因みに、アメリカ軍がビキニ環礁で行った人類史上4番目の核実験において、投下された原子爆弾に「ギルダ(Gilda)」という愛称がつけられたそうだ。爆弾の弾頭(あるいは内部)には「Gilda」の文字とともに、ネグリジェ姿のリタ・ヘイワースの写真(ピンナップ)が貼り付けられていたという逸話まである。ことほどさように、リタ・ヘイワーズは、当時のアメリカ人にとって性的魅力にあふれた人気女優だったのだ。

物語は、アメリカの青年ジョニー・ファーレル(グレン・フォード)が、流れ流れて南米アルゼンチンでいかさまサイコロを転がしてギャンブルで危ない橋を渡っていた。それがバレて殺されかかった時に、バリン・マンスン(ジョージ・マクレディ)という男に救われる。その男がオーナーを務める賭博場に出入りするようになり、腕が認められてマンスンの右腕となったジョニー。ジョニーを演じるグレン・フォードは、フリッツ・ラングの『復讐は俺に任せろ』(1953)で、刑事役で出ていた。ある時、ジョニーはマンスンの妻ギルダ(リタ・ヘイワーズ)を紹介される。長い髪を後ろにはらって顔を見せるリタ・ヘイワーズの最初のカット。長い髪が印象付けられる。部屋には、後に彼女が歌い踊る"Put the Blame on Mame"のレコードの音楽が流れている。ギルダは、ジョニーを見て顔を曇らす。後に明らかになるのだが、ジョニーとギルダはかつて恋人同士だったのだ。ギルダはジョニーを忘れられずヨリを戻したいと考えており、彼の気を引こうと客たちと親しげに戯れる。しかし、ジョニーはあくまでもボスの妻として冷たく接し、「男と遊んでいもいいけど、俺が洗濯物のように送り届けるから、マンスンを傷つけるな」と忠告する。マンスンは、それぞれが「初めて会った」と言う二人の間に何かあるなと勘ぐっている。二人はお互いに「憎しみ」を抱えていた。「憎しみは心を躍らせる感情になる」とマンスンはギルダに語る。

映画はそんな三角関係をベースに、カジノを拠点とするマンスンの裏の顔(タングステン事業で、元ナチス・ドイツの残党たちが裏で結成した不法な独占カルテル密売組織)が明らかになり、殺人事件が起き、マンスンは自殺に見せかけて消息を絶つ。マンソンが死んだと思ったジョニーはマンスンの事業を引き継ぎ、遺産を相続したギルダと結婚する。しかし、ジョニーはギルダを牢獄のように家に閉じ込めるだけで、相手をしない。耐えられなくなったギルダがほかの男と遊ぼうとすると、すべての男を彼女から引き離した。ギルダは逃げだし、モンテビデオでクラブ歌手になる。ジョニーとの離婚手続きをしようとブエノスアイレスに戻ってきたギルダは、再びジョニーと再会し、ジョニーの頬を叩きながら泣き崩れる。そしてステージで黒いドレスを身に纏い、"Put the Blame on Mame"を歌い踊るのだ。ジョニーに見せつけるわけでもなく、やけくそのような開き直りのダンス。黒い右腕の手袋をゆっくりと扇情的に外していく仕草がエロティックであるが、解放的な明るささえ漂っている。「ファスナーが苦手なの。手伝って」とこれまで男たちに繰り返してきたセリフで客たちを挑発し、ステージに男たちが群がるところを連れ出され、ジョニーがギルダを引っぱたく。深夜にギターを弾きながら従業員のピオ(スティーヴン・ジレー)に同じ歌を歌っていたギルダは、素の表情であり、逆にその飾り気の無さが印象に残る。最後の挑発的な歌とダンスとの違い。表と裏のリタ・ヘイワーズの表情が魅力的だ。最後はアメリカに帰ろうとするギルダに「俺も連れて行ってくれ」というジョニー。そんな二人の前に、死んだと思われていたマンスンが現れ、二人を殺そうとするが、そばで二人を見ていた男ピオが救い、マンスンの闇カルテル事業に関わるドイツ人を逮捕した刑事も二人を見逃してハッピーエンドで終わる。

愛し合っていながらも、何らかの理由(描かれていない)で別れ、再会したときは別の男の妻になっていた。そんな距離感の中で募っていく憎しみ。嫉妬からくる男の不信感と嫉妬させたい女の演技。しかしそんな愛憎まみれる二人が、「死ぬほど憎い」と言ってキスをして抱き合う。夫である男がいなくなり、結婚して決着するかと思いきや、それでも憎しみは愛に変わらず、傷つけあう二人。なんだかとてもまだるっこしく、演出もメリハリが効いていない。特に後半は描写不足で分かりずらい。そんななかで、仮面をかぶっていた自分を振り払うように、すべてを晒すように踊るリタ・ヘイワーズのラストのステージが印象に残る。映画としての出来は面白みに欠けるが、リタ・ヘイワーズの振る舞いに、当時多くの人たちが魅力を感じたのは分かるような気がする。


1946年製作/アメリカ
原題または英題:Gilda

監督:チャールズ・ヴィダー
脚本:ジョー・アィシンジャー
脚色:マリオン・パーソネット
原作:E・A・エリントン
製作:バージニア・バン・アップ
撮影:ルドルフ・マテ
キャスト:リタ・ヘイワース、グレン・フォード、ジョージ・マクレディ、ジョセフ・カレイア、スティーヴン・ジレー、ジョョセフ・ソーヤー、ジェラルド・モーア、ロバート・スコット、ルウィッグ・ドナス、ドン・ダグラス
☆☆☆3



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