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2026年08月27日17:33

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「危険な場所で」ニコラス・レイ〜孤独・暴力・復讐・愛〜

1951年ニコラス・レイ作品。同じニコラス・レイの邦題が似ているハンフリー・ボガート主演の『孤独な場所で』(1950)と混同されがちだが、こちらはロバート・ライアン演じるニューヨーク市警の殺人課刑事ジムと郊外の山中の静かな一軒家で暮らす目が不自由なメアリー(アイダ・ルピノ)との孤独な二人の恋物語。前半のニューヨークの町中の事件を扱うフィルム・ノワール風な刑事の描写と、後半の雪が残る田舎で起きた少女殺害事件を追う描写のタッチが全く違う。私は前半の「クズばかりだ」と苛立ちを抑えられない自暴自棄な刑事の描写が面白く感じられた。

夜のネオン街を走る車窓風景から始まり、愛する妻に寂しいと言われながら家を出る刑事や、子だくさんの賑やかな家庭から出ていく刑事、そして一人で容疑者の写真を見ながら食事をして片付けて出かける刑事ジム。3人の同僚刑事が家を出る違いが描かれつつ、ジムの孤独が浮き彫りになっていく。仕事熱心ながら、暴力的に犯人を追い詰めようとするジムは、たびたび上司のブラウリー警部(エド・ベグリー)から「やり過ぎだ」と注意を受けていた。かつてのフットボール選手として活躍したトロフィーを見て「くだらん」と言い、汚れた自分の手を何度もタオルで拭う。捕まえた犯人をすぐに殴りつけ、同僚に止められると、「こんな仕事はクソだ。クズの相手ばかりだ」と言う。しかし同僚は「そんなんじゃ、誰も救えない。自分が心を開かなきゃ、人生は開けない。」とジムに言う。

「街を離れろ。冷静になれ」と上司に言われ、ニューヨーク北部の街で起きた少女殺害事件への協力を言い渡されたジムは、ニュージャージーの山の中の町へと向かった。そこには娘を殺されて怒りで頭に血が上っている父親ブレント(ウォード・ボンド)の姿があった。ライフル銃で容疑者を殺してやると娘の復讐に燃えるブレント。それは、怒りを抑えられなかった都会での自分自身の姿でもあった。街の人々も総出でライフルをもって犯人を追いかけている。

そして、ジムとブレントは犯人を追いかけて周りに何もない一軒家にたどり着く。そこには目が不自由な美しい女性がいた。メアリー(アイダ・ルピノ)だ。どうやら弟を近くに匿っているらしい。ライフル銃ですぐに撃ち殺そうとするブレントを押さえつつ、メアリーから冷静に事情を聴くジム。メアリーは精神的な問題を抱えている弟が殺されるのをなんとか阻止しようとしていた。そしてジムに「弟を自首させるから殺さないで」と懇願する。美しい木や花を姉のために家に持って帰る弟は、外の世界を感じさせてくれる姉の「目」だった。問答無用の暴力で犯罪をねじ伏せようとしていたジムが、初めて人の話を聞く。メアリーから「忙し人ほど孤独に苦しんでいる。寂しい人ほど考えるものよ。孤独について」とジムは言われ、メアリーはジムの孤独な手に触れる。

結局は弟からナイフを取り上げられないまま、二人は岩山の上に追い詰めたが、弟は転落死してしまう。弟の命を守れなかったジムはメアリーに別れを告げて街へ戻るのだが、再びやってきてメアリーと手を触れ合い、キスをするのだった。

後半の展開がやや安易な感じもあるが、前半のくだりは素晴らしい。「クソみたいな人生」のどうにもならない怒りが充満していく感じをもっと見たかった。


1951年製作/アメリカ
原題または英題:On Dangerous Ground
配給:IP映画

監督:ニコラス・レイ
脚本:A・I・ベゼリデス
原作:ジェラルド・バトラー
製作総指揮:アルバート・S・ロジェル
製作:ジョン・ハウスマン
撮影:ジョージ・E・ディスカント
音楽:バーナード・ハーマン
キャスト:アイダ・ルピノ、ロバート・ライアン、ウォード・ボンド、エド・ベグリー
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