“忘れ去られたヌーベルヴァーグの名匠”として再評価が進むギィ・ジル監督が1963年に発表した長編デビュー作。劇場公開されたので、観てみた。全く知らない監督だった。ギィ・ジル監督が1959年に手がけた短編「Au biseau des baisers」を気に入った名匠ジャン=ピエール・メルヴィルが製作資金の一部を援助したらしい。水兵ギィ役でギィ・ジル監督が自ら出演。ジュリエット・グレコ、アラン・ドロン、ジャン=クロード・ブリアリ、ジャン=ピエール・レオらが友情出演。
恋人たちの遠距離恋愛。夏の海辺ドーヴィルで愛を確かめ合うジュヌヴィエーヴ(ジュヌビエーヴ・テニエ)と水兵ダニエル(ダニエル・ムースマン)。しかしヴァカンスが終われば、彼は港町ブレストへ、彼女はパリへと戻らなければならない。夏の陽射しを浴びたカラフルな想い出が離れがたく、二人は再会を願って手紙を綴り続ける。
フランス映画らしい美しい映画である。白黒画面とカラーが入り混じる。現在が白黒画面で、回想やイメージがカラーの場合が多い。ジュヌヴィエーヴのアップの顔。カラフルな色彩。白黒画面の路地でキスする二人のシルエット。抒情的な海。離ればなれになって、ジュヌヴィエーヴは手紙を書き続けるが、ダニエルからの返信が滞りがちになっていく。二人の愛にあふれた再会シーンから始まり、季節の移ろいとともに、それぞれが孤独を深めていく。ダニエルはアルジェリア戦争から帰還したもう一人の水兵ギィと親密な関係になっていく。
兵役を終えたダニエルはパリに戻ってくるが、すぐにジュヌヴィエーヴと会おうとしない。パリの街を一人彷徨うのだ。そこはカラーで描かれ、ネオン煌びやかなパリの街が、ダニエルの迷える心理的彷徨を包み込む。そして翌日、ようやくジュヌヴィエーヴに会いに行って、ダニエルは別れを告げるのだが、そのシーンは白黒画面で描かれる。そしてダニエルは、南仏へと旅をしながら生きる道を探していくという手紙をギィに書く。
ギィ・ジル監督は、1980年代末に病に倒れエイズを発症し、1996年2月3日に57歳の若さで逝去した。恋人たちの海辺に消えていく儚い愛の記憶、すれ違っていく孤独な心情を抒情的に描いた本作。この作品だけでは、ギィ・ジルの全体像はよくわからない。
1964年製作/73分/フランス
原題または英題:L'amour à la mer
配給:クレプスキュールフィルム
監督・脚本:ギィ・ジル
撮影:ジャン=マルク・リペール
編集:ナウン・セラ
音楽:ジャン=ピエール・サロ
キャスト:ダニエル・ムースマン、ジュヌビエーブ・テニエ、ギイ・ジル、ジュリエット・グレコ、アラン・ドロン、ジャン=クロード・ブリアリ、ジャン=ピエール・レオ
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写真引用(C)1965 Films Galilée
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