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2026年04月12日22:41

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「肉体の悪魔」クロード・オータン=ララ〜戦争とともに恋が始まり、戦争が終わると恋が終わる〜

レイモン・ラディゲの原作の同名小説の映画化。1947年モノクロ映画。24歳のジェラール・フィリップが17歳の高校生フランソワ役を演じて世界的な人気となった。フランソワは学校に隣接する臨時の陸軍病院にやって来た見習い看護師マルト(ミシュリーヌ・プレール)と出会う。マルトには出征中の婚約者がいたが、フランソワの大人びた言動と無邪気な情熱に次第に惹かれ、2人は愛し合うようになる。高校生と婚約者がいる年上の女性との道ならぬ恋を描いたメロドラマ。戦争中に恋が始まり、戦争が終わって人々が喜びに沸き立つ中で、二人の恋が終わる皮肉。

「この映画に登場する人物は、血気にあふれ、時には反社会的な若者である。1914年から1918年の間、激震した世界の中を、押し流された若者たちの精神がここには表われている」という字幕表記が初めに入る。空撮の町の風景に続いて、「戦争が終わった」と喜びに沸く町の人々。大砲の音が聞こえ、教会の鐘が鳴り響いている。そんな中でフランソワは、葬式の行列を一人見送っている。そしてある家の門から階段を昇って、部屋の中に入ると、そこには誰もいない。ベッドに黒猫が横たわっている。そして鏡に映る自分を見ながら、回想シーンとなり、高校生のフランソワとマルトの出会いの恋物語が描かれていく。

マルトに好意を抱いたフランソワは、パリへ行くというマルトを追いかけ、桟橋から小さな船に飛び乗る。この映画は船の桟橋が二人の人生の分岐点となる場所として、印象的に描かれる。最初は二人の初めてのデートとなるパリ行きの船にフランソワが飛び乗ったことだ。パリのレストランで、注文したワインがコルク臭いと店員に文句を付けたことで、二人の距離は一気に縮まる。そして婚約者と住む新居の家具を二人で見るのだ。すっかり恋人同士のようになった二人だったが、船で戻ってきた桟橋には、マルトの母と婚約者がいた。束の間の夢と厳しい現実。フランソワがマルトに贈った花束は母に捨てられ、婚約者と過ごす窓を見上げるフランソワ。

婚約者と一夜を過ごしたマルト。母からフランソワと会うことを禁じられ、フランソワもまた別れを決意し、マルトとの約束の夜の桟橋の待ち合わせに行かないことにする。しかし、マルトの手紙を読んだフランソワの父に連れられて夜の桟橋に行くと、1時間も待っていたマルトがいた。しかし、橋の上からマルトを見つつ、フランソワは会わずに父とその場を離れていく。もう終わりなんだと呟く。川の光の反射が揺らめき、桟橋で待つマルトを印象的に映像化している。この映画の最も美しい場面だ。川面に映るマルトの姿に雨が降り出す。

再び2018年の終戦後の教会での葬儀の場面に戻り、誰の葬儀が知らせないままフランソワが憂鬱そうに見つめる中で、回想シーンが始まる。夏の間、地元を離れていたフランソワはマルトと再会する。マルトは兵士の男と結婚して妻になっていた。別れることを決めたはずのフランソワだったが、マルトの部屋まで押しかける。そして、その部屋ではフランソワがパリの店で気に入っていたベッドがあったのだ。怒って帰ろうとするフランソワを呼び止め、自らの思いを押しとどめることが出来ないマルトは、フランソワとキスを交わし、二人は抱き合うのだった。結婚したことで母の元を離れ、出征した夫のいない新居で二人は愛の生活を始める。あの夜、桟橋にあなたが来ていたら、未婚のままだった。だけど結婚したからこそ、こうして二人で会えるのよ、とマルトは言う。

しかし、戦争の終結とともに終わらせなければいけない恋。出征中の夫が帰ってくるというので、駅に迎えに行こうとするとき、マルトが妊娠していることをフランソワは告げられる。別れられなくなる二人。再び船の桟橋。夫に自分が全てを話すと言っていたフランソワだったが、学校を卒業出来なくなると船に乗らず、夫の元へ一人行くマルト。桟橋で再び二人の別れが演じられる。

出産のために祖母の田舎に行かせるために母はマルトを汽車に乗せる。マルトもフランソワと別れる決意をしていた。追いかけてきたフランソワは列車に飛び乗り、二人は最後の夜をパリで過ごす。思い出のレストラン、別れがたい二人。戦争が終わると騒いでいる賑やかな酒場で酒を飲んだマルトは具合が悪くなり、母が迎えに来てマルトを連れて行く。フランソワは引き離される。そして出産したマルトだったが、容態が急変して死んでしまう。出産後に夫が戻ってきたが、マルトはうわ言のようにフランソワの名前を呼ぶ。そし再び、マルトの葬儀を見守るフランソワ。戦争は終わりを告げて、町に平和は戻ってきた。しかし、二人の恋は悲しい結末を迎えたのだった。

何度も登場する船の桟橋で二人は出会い、別れ、スレ違う。家の門、そして階段。駅のホーム、パリのレストランなど、二人の恋の悲劇を丁寧に描いている。バーの給仕役でジャック・タチが出演している。


1947年製作/123分/PG12/フランス
原題または英題:Le diable au corps
配給:セテラ・インターナショナル

監督:クロード・オータン=ララ
原作:レイモン・ラディゲ
脚本:ジャン・オーランシュ ピエール・ボスト
撮影:ミシェル・ケルベ
美術:マックス・ドゥーイ
音楽:ルネ・クロエレック
キャスト:ジェラール・フィリップ、ミシュリーヌ・プレール、ジャン・ドビュクール、ドニーズ・グレイ、パロー、ジャック・タチ
☆☆☆3
写真引用(C)Transcontinental Films
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