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2026年03月05日16:13

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「泣き濡れた春の女よ」清水宏〜雪の北海道に流れた男と女たち〜

清水宏監督のトーキー第1作。北海道の炭鉱町が舞台で、北海道ロケを敢行。馬そりなどの雪国の生活が垣間見られる。音の状態があまり良くないが、トーキー第1作で、台詞まわしもあまり上手くない。台詞を言うアフレコの技術もそれほどまだ熟練したものではなかったのだろう。

清水宏の映画はわりと船がよく出てくる。『恋も忘れて』(1937)も横浜が舞台で船で人がやって来たし、『不壊の白珠』(1929)も最後に船で男が旅立って行くのを女が見送るのだった。この作品も、男や女たちが船で北海道へ向かうシーンから始まり、最後は男が船で南へと旅立っていくのを窓から女が見送って終わるのだ。

流れ者の炭鉱夫・謙二(大日方伝)と相棒の忠公(小倉繁)は船で北海道へ渡る。船の汽笛。炭鉱夫たちをまとめる威張り散らしている上官の点呼。そしてなんらかの事情を抱えて女たちも北へと渡っていくのだった。甲板で歌を歌いながら佇む着物姿の女たち。小さな女の子と母、そして海を見て泣く若い女。北へと流れていく者たちの哀しさ。雪の北海道での厳しい炭鉱の仕事が始まる。暗闇で掘り続ける男たち。そして夜は女たちがいる白粉の匂いのする酒場へ。その酒場には、船でも一緒だったマダムのお浜(岡田嘉子)、その娘の女の子、そして泣いていた若い女・お藤(千早晶子)がいた。健二とお藤はお互い惹かれ合い、お浜も健二に思いを寄せていく。さらに上官の男がお浜に思いを寄せ、関係が絡まっていく。自分のことで精一杯で子供の面倒をみることもなくほったらかしにしていたお浜に、「子守歌ぐらい歌ってやれよ」と優しく言う健二。お浜とお藤の恋の行方を噂する酒場の女たち。子供がいなくなったり、健二と上官の喧嘩があり、ある日、炭鉱事故が起きて健二の相棒の忠公が死んでしまう。炭鉱夫が落盤事故で死んでも当たり前だと言う上官の言い草にカットなった健二は上官をナイフで刺してしまう。そして健二は上官に追われ、お浜によって逃がしてもらう。お浜は、自らの思いを封印し、若いお藤に健二を船で連れ出してくれと頼む。そして窓から南へと旅立っていく船の明かりを涙とともに見送るのだった。お浜が歌う流行歌が哀しく響く。女の子を寝かしつけ、暖かい南の国へ行く恋しい男を思いつつ、窓の外は静かに雪が降る。流れ者の男たちの話かと思いきや、娘への思いと男への未練を描いた女の哀しきメロドラマだった。


製作:1933年日本
上映時間:96分
製作会社:松竹キネマ(松竹蒲田撮影所)
配給:松竹

監督:清水宏
脚本:陶山密
原作:本間俊
撮影:佐々木太郎
編集:水谷至宏、星野斎、秋野栄久
キャスト:岡田嘉子、大日方伝、千早晶子、小倉繁、石山龍児、村�鷙�子、大山健二、市村美津子、富士龍子、雲井鶴子、兵藤静枝、白石明子
写真引用コピーライト1933松竹株式会社
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