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2026年01月22日21:55

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「白い恐怖」アルフレッド・ヒッチコック〜精神分析的な心理サスペンス〜

『汚名』(1946)の前年に撮ったイングリット・バーグマン主演のヒッチコック映画。今回は相手役が『ローマの休日』(1953)のグレゴリー・ペック。イングリット・バーグマンは精神分析医で、女医として、恋人として、殺人犯の容疑者となったグレゴリー・ペックの精神的トラウマを解き明かし、記憶障害と罪悪感から解放し、真実を解き明かし、事件の犯人を究明するという心理サスペンス映画。夢の場面装置はシュル・レアリストのサルヴァドール・ダリが制作に参加しているのも話題。夢分析をするためにグレゴリー・ペックが夢の話をする。大きな目玉だらけのカーテンと賭博場。その目玉をハサミで切り裂くシーンが出てくる。ルイス・ブニュエルがサルヴァドール・ダリと作った『アンダルシアの犬』(1929)と同じイメージだ。そしてシュールレアリスム的な絵が描かれているセットの屋根の上から男が落ち、歪んだ車輪を投げたり、巨大な翼に追いかけられるシーンなどがイメージで映像化されている。心理的なトラウマや精神分析的な病気へのアプローチは、ヒッチコック映画ではよく描かれる。『サイコ』の母親との歪んだ関係、『めまい』の高所恐怖症、『マーニー』も母親への強い依存が描かれていた。この映画は子供の頃の弟を事故で死なせてしまった罪悪感から来る男のトラウマが明かされていく。

精神治療院の女医であるコンスタンス・ピイタアゼン博士(イングリット・バーグマン)は、美人だが本に夢中で堅物。同僚の口説きにも関心を示さない。患者にも冷たい対応だと言われ、眼鏡に白衣姿で登場。そこへ若い新所長としてエドワーズ博士と名乗る男(グレゴリー・ペック)がやって来る。コンスタンスはあっさり一目惚れ。食事しながら彼女が計画中のプールの略図をフォークの先で白いテーブルクロスに描いた途端に彼の様子が変になる。その後もしばしば布地に真っ直ぐな線に異様な反応を示す。ある夜、コンスタンスがエドワーズ博士の部屋から光が漏れているのが気になり、部屋をノックして入り、二人は抱き合ってキスをする。自分が自分ではないかのように恋に狂わされてしまうコンスタンス。扉が次々と開かれていくイメージ映像が挿入される。しかし、様子がおかしくなって気絶したエドワーズ博士を看病しながら、彼の自筆のサイン入りの著書を見ていたら、彼の筆跡と違う。「あなたは誰なの?」とコンスタンスが問いかけると、男は「私がエドワーズを殺して成り変わった」と言い出す。これまでの記憶がないのだと言う。持っていたシガレットケースにJ.Bの刻印がある。J.Bとしか名前が分からない男は、コンスタンスに迷惑がかからないように施設を出てホテルへ行く。新所長エドワーズ博士とやってきた男が違う人物だとバレて、警察もエドワーズ殺人の容疑者として男の行方を捜す。

コンスタンスは自分が愛した男が殺人犯のわけがないと信じ、彼の記憶喪失とトラウマを解き明かそうと彼と一緒に逃げて、恩師の精神分析学者ブルロフ博士(マイケル・チェホフ)を訪ねる。深夜にカミソリを持ってブルロフ博士を襲いそうになるJ.B(グレゴリー・ペック)。ブルロフ博士の機転で睡眠薬を飲ませて眠らせたが、危険人物である彼を警察に通報しようとするのを、コンスタンスは必死で止める。そして火傷の傷から戦争中の記憶、夢の分析から恐怖は雪とスキーに関係があると判る。スキー場まで行って滑走しながらJ.Bは、子供の頃の弟の事故、エドワーズ博士のスキー場での滑落死のことを思い出す。すべて解決かと思いきや、警察はエドワーズ博士の死体から銃弾を発見。事故死ではなく殺人嫌疑で逮捕されたグレゴリー・ペックだったが、最後まで彼の無実を信じたコンスタンスは、前任の施設の所長がエドワーズ博士を知っていながら、J.Bをエドワーズ博士だと紹介した嘘に気づき、彼が犯人だと突き止める。最後に所長は真実を暴かれ自殺し、グレゴリー・ペックが出所できてめでたしめでたし。

スキーシーンの合成があまにもチープか。最後の謎解きは、やや説明臭くなってしまい、あまりうまくいっていない。後半の見せ場があまりない。イングリット・バーグマンが恋に目覚め、恋人の無実を信じる強い意志で行動する女性を演じている。


1945年製作/111分/アメリカ
原題または英題:Spellbound
配給:SRO=東宝

監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚色:ベン・ヘクト
原作:フランシス・ビーディング
製作:デビッド・O・セルズニック
撮影:ジョージ・バーンズ
美術:ジョン・エウィング
夢シーン装置:サルバドール・ダリ
音楽:ミクロス・ローザ
録音:リチャード・デウィーズ
編集:ウィリアム・ジーグラー
キャスト:イングリッド・バーグマン、グレゴリー・ペック、マイケル・チェホフ、ドナルド・カーティス、ロンダ・フレミング、ジョン・エメリー、レオ・G・キャロル、ノーマン・ロイド、ポール・ハーベイ、アースキン・サンフォード、ジャネット・スコット、ビクター・キリアン、ウォーレス・フォード、ビル・グッドウィン、ハリー・ブラウン、アート・ベイカー、レジス・トゥーミイ
☆☆☆3
写真引用コピーライトブレーントラスト

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