mixiユーザー(id:3912568)

2026年01月06日20:00

54 view

「奥様は魔女」(1942)ルネ・クレール〜恋と魔法の原点とも言える古典的ラブコメディ〜

子供の頃、同じタイトルのアメリカのテレビドラマ(1964〜1972年)を楽しんで見ていた記憶があるが、1942年製作のモノクロ映画の本作はその原点とも言える作品。魔女との奇妙な結婚生活を描いたのがTVシリーズだが、これはその結婚する前の顛末を描いたもの。魔女役の金髪美女のベロニカ・レイクがチャーミングだ。2005年にはニコール・キッドマン主演でTVシリーズの再映画化がされている。第二次世界大戦中ハリウッドに滞在したフランス映画の名匠ルネ・クレール監督が、ユーモア作家ソーン・スミスの恋愛喜劇をアメリカで映画化した。

17世紀末のアメリカでは、魔女は畏れられ、魔法使いのジェニファーとその父親は火あぶりにされた。そしてその灰は樫の木の下に埋められ封じ込められた。自分たちを告発したジョナサン・ウーリーへの復讐のため、ジェニファーはウーリー家の男たちが今後代々「間違った相手」と結婚するように呪いをかける。そしてウーリー家の男たちは何代にも渡り、口うるさい女と結婚することになる。

1942年、稲妻がその樫の木に落ちたために魔法使いのジェニファーとダニエルは自由の身となり、煙となって現われる。一方、ウーリー家の当主ウォレス(フレデリック・マーチ)は州知事選に立候補し、彼の支援者の娘エステル(スーザン・ヘイワード)との結婚を控えていた。そんなウォレスを破滅に追い込もうと、ジェニファーは若い娘の身体を手に入れ彼の前に現われる。ウォレスに「惚れ薬」を飲ませて、自分のことを忘れられずに苦しめようとするが、気を失った瞬間に自分が間違って飲んでしまう。ウーリー家を苦しめるためにやって来たのに、自分が「惚れ薬」を飲んでしまったために、ウォレスに夢中になってしまう魔女のジェニファー(ベロニカ・レイク)。父親のダニエル(セシル・ケラウェイ)は、ジェニファーの愛を止めようといろいろと邪魔をするが、ウォレスはエステルとの結婚を取りやめ、ジェニファーと結婚してしまう。そんな魔女の皮肉な運命をすったもんだのコメディで描く。

ウォレスとエステルの結婚式の場面が何度も中断されるところが面白い。ハリウッドで盛んに作られたスクリューボール・コメディでもいつも結婚式前に邪魔が入る。『フィラデルフィア物語』(1940)でも『赤ちゃん教育』(1937)でも結婚直前に邪魔が入るパターンは同じだ。結婚は本当に幸福なのか?結婚相手は間違いないのか?誰もが結婚式前に不安な気持ちになる心理をコメディとして描いているのだ。コメディ映画では本当の愛の相手は別の人間だったというパターンが多い。この映画では、まずダニエルの魔法によって風が吹き荒れ、会場に集まった客たちのスカートの裾がひるがえり、立っていられないほどの混乱状態になる。さらにダニエルがウォレスのピストルで殺される魔法をかけたりと、ハプニングがいろいろ起きる。その度に階段を降りてくるウォレスのアクションは繰り返され、祝福の愛の歌と演奏が何度も中断されるのだ。その度に結婚式を始められない花嫁エステルの怒りが募っていく。そして遂に「もう我慢できない」とブチ切れて花嫁が彼の控え室に行くと、ジェニファーとキスしている花婿のウォレスを見て、結婚式は中止。ウォレスとジェニファーは手に手を取って会場を出していくのだ。

テンポ良く展開されるこの魔法のコメディは、恋そのものが魔法のようなものであることをあらためて気づかせてくれる。まさにシェイクスピアの喜劇『真夏の夜の夢』だ。煙となって瓶の中に入ったり、暴風を起こしたり、この映画の魔法もやりたい放題の大混乱なのだが、それが見ていて楽しい。ベロニカ・レイクの小悪魔ぶりも必見。見事なロマンティック・コメディになっている。一陣の風がハプニングを起こすシーンは、ジャン・ルノワールの傑作コメディ『草の上の昼食』(1959)でも、より過激な形で使われていたのを思い出した。


1942年製作/アメリカ
原題または英題:I Married a Witch
配給:セントラル

監督:ルネ・クレール
脚色:ロバート・ピロッシュ、マーク・コネリー
原作:ソーン・スミス
製作:ルネ・クレール
撮影:テッド・テズラフ
音楽:ロイ・ウェッブ
キャスト:フレデリック・マーチ、ベロニカ・レイク、ロバート・ベンチリー、スーザン・ヘイワード、セシル・ケラウェイ、ロバート・ワーウィック、エイリー・マリヨン、ロバート・クレイグ
写真引用コピーライト ブレーントラスト
☆☆☆☆4
0 3

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2026年01月>
日 月 火 水 木 金 土
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031