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2025年12月22日12:58

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「河」ジャン・ルノワール〜思春期の恋と悠久たる河の流れ〜

ジャン・ルノワールが自らインドのガンジス流域に赴いて撮り上げた作品で、ケネス・マケドウニー製作の1951年のジャン・ルノワール初のカラー作品。「黒水仙」の原作者ルーマー・ゴッデンの半自叙伝的な同名小説から、ゴッデンとルノワールが共同脚色した。撮影はジャンの甥クロード・ルノワール、音楽はインドの現地の音楽を使用。

インドを舞台とした地味な映画なので見るのを先送りしていたが、見てみると、そこには普遍的な時間の流れと家族が描かれ、今見ても面白かった。ラストは、一家に赤ちゃんが産まれて、「女の子です」と聞くとみんなで大笑い。女の子ばかりの家族だからだ。「10分前はいなかったのに 明日は当たり前に 今日 赤ちゃんが生まれた 赤ちゃんと私たち 河と世界のすべてのもの 河は流れ 地球は回る 朝も昼も そして真夜中も 太陽と月と星が空を巡り 1日が終わり そして終わりが始まる」とゴッデンの詩が語られる。若い3人の女性たちからカメラが上昇していくと、悠々たるガンジス河が映し出されて映画は終わる。

インドの風俗や祝祭、カーリーやクリシュナなどヒンドゥー教の神々たちも描かれている。ガンジス流域にあるベンガル地方の村で黄麻工場を営む英国家族が物語の中心。長女ハリエット14歳と、裕福な地主の一人娘で18歳のヴァレリー、そして隣家のインド人と英国人との混血の娘メラニーの3人が、メラニーの父を訪ねに来たアメリカ人の退役軍人ジョン大尉(トーマス・E・ブリーン)に恋に落ちる。思春期の3人の恋の芽生え、子供から大人に成長していく物語だ。ラストは、この3人の女性が河をバックに並ぶ。あんなに憧れ、恋していたジョン大尉からの手紙を投げ捨て、産まれたばかりの赤ちゃんの泣き声が聞こえる病室に向かい、赤ちゃん誕生と人生の巡り合わせに思いを馳せるのだ。3人の衣装が黄色(メラニー)、薄いブルー(ハリエット)、緑(ヴァレリー)となっており、3色が鮮やかだ。

英国家族の隣の家にやって来た若い男性、退役軍人ジョンはやさしい美青年だが、戦争で片脚を失っており義足だ。そのことで自分を持て余している。輪投げで遊んでいて転んで立てなくなったときに、「こっちに来るな。ぼくに触るな。」とヴァレリーに怒りをぶつける。そしてジョンはこの地を去って行くことになった。それぞれの若き女性たちの思い。恋に積極的なヴァレリー。自分で上手く話せず、ノートの詩に思いを込めるハリエット。インド人と英国人のハーフである出自で自分を好きになれずに悩むメラニー。ヴァレリーとジョンがキスするのを見てショックを受ける二人。思春期の恋のざわめきが描かれる。

そんなとき、ハリエットの弟の少年ボギーが、大道芸人のコブラ使いのように、森で見つけたコブラを笛で操ろうとして死んでしまうのだ。ハリエットは、ジョン大尉に夢中なあまり、蛇を見つけて遊んでいる弟のことを家族に報告しなかったのだ。悲しい弟の葬式。ハリエットは、一人で河に小さな舟で漕ぎ出し、行方不明になるが漁師に救出される。弟の死も、戦争で失った脚も、すべては受け入れるしかない。去って行くジョン大尉との別れ。みんなでジョン大尉に夢中になった庭での楽しき思い出は過去のものになった。それでも春がめぐり、花が咲き、祭りの季節がやって来た。すべてを受けれて生きていく。喜びも悲しみも。この流れゆく大河のように。

乾いたインドの大地と河の流れ、祝祭や神々やダンス。そしてそこで生きる家族を通じて、自然と人間の時間の移ろいを描いた作品だ。


1951年製作/アメリカ
原題または英題:The River/ Le Fleuve
配給:ユナイト日本支社=松竹

監督:ジャン・ルノワール
脚色:ルーマー・ゴッデン、ジャン・ルノワール
原作:ルーマー・ゴッデン
製作:ケネス・マケルドウニー
撮影:クロード・ルノワール
美術:ユージン・ローリー
音楽:M. A. Partha
録音:チャールズ・プルトン、チャールズ・ノット
編集:George Gale
キャスト:ノラ・スウィンバーン、エスモンド・ナイト、アーサー・シールズ、トーマス・E・ブリーン、パトリシア・ウォルターズ、ラーダ、エイドリアン・コリ、ジェーン・ハリス
写真引用コピーライト文輝堂
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