◆『スロウトレイン』(TBS)
2025年は野木亜紀子脚本の『スロウトレイン』(TBS)で始まった。かつて向田邦子原案、久世光彦演出の正月の家庭ドラマがTBSの定番で楽しみにしていた時期があった。あのクオリティのドラマは久しくお目にかかれない。このところ再放送のスペシャルドラマが多かったが、久しぶりに見応えのある正月スペシャルドラマだった。「小さなレールの段差を滑らかにしていくように」、日常のひとつひとつを大切にしながら「次の駅を目指す」ようなステキなドラマだった。駅、レール、江ノ電と韓国の電車の風景の類似をうまく使いながら、年末年始を一人で過ごすことも肯定する現代のドラマになっていた。
◆『ホットスポット』(日テレ)
1月クールは、バカリズムの『ホットスポット』が快調に飛ばしている。毎回ゲラゲラ笑って見ている。市川実日子に鈴木杏、そして平岩紙の女性3人のどうでもいい会話がとにかく楽しい。特に平岩紙(「大人計画」所属)は豪邸に侵入する女性3人組のバカリズムのドラマ『侵入者たちの晩餐』(日テレ)にも出ており、すっかりバカリズムドラマの常連であり、欠かせない存在だ。くだらない日常の会話が得意なバカリズムは、『架空OL日記』(読売テレビ)、『殺意の道程』(WOWOW)、『ブラッシュアップライフ』(日テレ)と、どんな劇的な状況でも日常の淡々とした会話が終始するところがなんとも可笑しい。今回は角田晃広の宇宙人という特異な設定にもかかわらず、「体育館の天井に挟まったバレーボールの話」など、くだらないことで宇宙人の能力を活用する展開がなんとも笑える。角田晃広もまた、ツッコミどころ満載の間抜けな宇宙人というのも可笑しい。夏帆に木南晴夏の脇役もいい。富士山の麓のホテルという設定もなんだかパワースポットっぽい。木皿泉脚本の『富士ファミリー』(NHK)を思い出す。富士山の麓には奇妙な人たちが多いのだろうか。ジャンルは違うけど、ホテルの木の壁のフロントと赤い制服の光景はデヴィット・リンチの『ツインピークス』を思い出させる奇妙さもある。
◆『御上先生』(TBS)
TBS日曜9時の『御上先生』は、予想以上の面白さだ。映画『新聞記者』(藤井道人監督2019)の詩森ろば脚本。詩森ろばは、演劇ユニット「serial number」としても活動。文科省官僚のエリートが日本の教育にモノ申す硬派な学園ドラマになっている。エリートとは、ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)の考え方を持っていなければならない。権力や地位を持つようなエリートは、自己保身や自分の利益のために働くのではなく、国家や国民のために尽くす義務があるのだ。社会的な責務がある。それなのに、最近のエリートたちは自分の勝手な都合で自己利益ばかりを追い求めているような奴らが多い。そんな社会への異議申し立てがどこまでドラマとして面白く描けるか、楽しみに見ている。
◆『TRUE COLORS』(NHKBS)
前作『グレースの履歴』が素晴らしかった源孝志監督・原作・脚本による『TRUE COLORS』も色をテーマにしていて映像も美しい。特に空と海の色を丁寧に描いている。 シンディ・ローパーの「トゥルー・カラーズ」のエンディング曲がとにかくカッコいい。倉科カナ、克哉、滝藤賢一などのキャストもハマっている。
◆『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK)
横浜流星がいつも走り回っている『べらぼう』も吉原を舞台にしながら安田顕演じる平賀源内や渡辺謙の田辺意次などとの絡みなども今後楽しみだ。
◆『東京サラダボウル』(NHK)、『クジャクのダンス、誰が見た?』(TBS)
緑の髪をした奈緒が国際捜査の警察官を演じる『東京サラダボウル』(NHK)も、現代の社会からこぼれ落ちる移民たちの犯罪を扱っていて面白い。奈緒と通訳人の松田龍平のコンビもいい感じ。この脚本を書いている金沢知樹が、TBSの金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』の脚本家であるのも驚いた。どちらも原作モノだが、同時期に二つのドラマを書く金沢知樹とは何者か?調べてみると、バラエティの構成作家などをやりつつ、「劇団K助」を旗揚げ。映画『サバカン SABAKAN』の初監督をしたり、NETFLIXドラマ『サンクチュアリ -聖域-』の脚本も担当しており、注目株だ。『クジャクのダンス、誰が見た?』も見応えのあるサスペンスだ。
そのほか『119エマージェンシーコール』(フジ)の清野菜名、『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS)の芳根京子、『法廷ドラゴン』(テレ東)の上白石萌音などのドラマは、出演者の魅力でなんとか見続けている。
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