あまりに書けないし、書くこともないし、書きたいこともない。こんな時は、誰かが代筆をしてくれないものだろうか、と、そう考えていて、一つ、思ったことがある。筆者には代筆してくれそうな者が多くいるのだ。奥田忠志はもちろん、裏道小道、江波輪坊、アイさん、コモドオオトカゲ、ギャオス、ガメラ、他にもいる。
その人たちに執事の追悼文というのを書いてもらうのも面白いかもしれない。個人的な話を公開の場で書くべきではないと言っているのに、これは、もう、暴挙としか言いようがない。暴挙なのだが、どうせ書けない時なのだから、こんな時ぐらい許されるのではないだろうか。そんな甘えで代筆を頼むのだ。どうせ代筆させるなら、それなら、書くことが出来そうな者にだけ依頼するという必要もない。自分では絶対に書けない者たち。たとえば、筆者の車、ノートパソコン、カバンにも何か書いてもらってもいいかもしれない。樹海に忘れて来てしまったカメラに取材に行ってもいいかもしれない。買ったまま一度も使わずに捨てられることになったミシンは霊媒師に頼んで書いてもらってもいいかもしれない。出版したのに封印したエロ雑誌はどこかで眠っているかもしれない。起こして書いてもらうのもいいかもしれない。
これは意外と十二話には納まらないかもしれない。
追悼文ではなく、筆者に対するクレームでもいいし、あるいはラブレターもいいかもしれない。ただの手紙でもいいかもしれない。
「拝啓、執事、混浴露天風呂の女子更衣室に隠し置かれたまま回収してもらえていないカセットテープレコーダーです」
と、そんな手紙を筆者が受け取るのだ。何だか、書きたくなって来た。書きたいことなど一つもなかったのに不思議なものだ。スランプから少し回復しつつあるのかもしれない。
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