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2019年05月01日08:47

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平成最後に観た映画

 元号が変わることにぼくはまったくの無関心である。
 でも、あっちを見てもこっちを見てもそのこと一色という感じなので、ぼくも一つ、平成最後に観る映画を何にするかを考え、小津安二郎監督の『東京物語』を選んだ。記録を見たら、観るのは二十四年ぶりだった。
 ぼくも年をとったということなのかもしれないが、二十四年前に観たときよりも心にずしりと迫ってきた。
 広島の尾道に住む老夫婦が東京の子供たちを訪ねる物語。
 せっかくはるばるやってきても、子供たちもそれぞれ忙しくあまり相手にしてくれない。しかしそのことで不平を言うこともなく、「みんな忙しいんだから気にしないで」とねぎらう。夫婦二人のときも「まあ、そういうものだから」と終始にこやか。だがそういうことに不満がないわけではなく、昔なじみの知人と酒を飲んで気がゆるんでいるときにポロッと口をつく。そして「そういうものだから」という達観は広島に帰って早々妻が亡くなっても変わらない。
 無駄のない、最小限の台詞でそうしたことを描く監督の手腕は見事というほかない。日本が誇るAプラスの名作である。
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