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2018年10月22日22:03

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ナボコフ『ロリータ』読了

若島正が訳したナボコフの『ロリータ』(新潮文庫・2006年)を読み終わった。
素晴らしい小説であった。とても面白かった。
外国の長編翻訳文学をこれほど楽しく読んだのは、メルヴィルの『白鯨』以来ではないかと思う。

読み始めたのが2016年10月だから、2年前のことだ。
と言っても、読むのに2年を要する本ではない。
実は、3か月ほど(2017年1月時点)で、457ページまで読み終わっていた。本文は552ページまでなので、残り100ページほどだが、そこで止まってしまった。止まった理由は「読み終えるのが惜しくなったから」だ。僕には、ときどきそういうことがある。その本を読み終えることではなく、その本を読んでいる瞬間そのものが「愉しみ」であるようなときに、「読み終えたくない」という感情が湧き上がり、読み進めることを止めてしまうのだ。

しかし、10月20日の土曜日、決心がついて、この本を読み進めた。
決心がついた理由のひとつは、ナボコフには他にも著作があり、その大半は邦訳されており、しかも図書館で借りることも出来ることを知ったからだ。(ウィキペディアによれば「全ての作品が日本語訳されて」いるとのこと。)
外出の電車での往復と帰宅後の就寝前の時間をほとんど使い、残りの100ページほどを一気に読み終えた。それくらいのスピード感を持って読める本だ。たぶん、翻訳が優れているのだろう。

この本の素晴らしさについて、僕は表現したり批評できるだけの言葉を持たない。
なので、大江健三郎による「解説」から賛辞を引用する。

「二十世紀最良の小説」
「ロマンチックな小説」
「野心的で勤勉な小説家志望の若者に私は、小説勉強のこれ以上ないテキストとして、『ロリータ』をすすめてきた」
「生きることの労苦の小説」
「モラリストの小説」

これ以上の賛辞を送っても、この作品の魅力について語るには十分ではないだろう。

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