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2018年08月18日11:31

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実朝の七夕の歌

「(193) 久かたの天の河原をうちながめいつしかと待し秋も来にけり
(194) 彦星の行合(ゆきあひ)をまつ久方の天の河原にあき風ぞ吹く
(195) 夕されば秋風涼したなばたの天の羽衣たちや更(か)ふらむ」

斎藤茂吉校訂『金槐和歌集』(岩波文庫・1963年改版)p.76より

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鎌倉幕府の第三代征夷大将軍であった源実朝の家集『金槐和歌集』に載る七夕の歌から3首を撰んでみた。
実朝の歌は素直な歌が多く、比較的分かり易いような気がしている。
鎌倉という関東の地で詠まれたことから、京都の公家が詠んだ歌よりも身近さを感じたりもする。

この3首は、いずれも七夕の日の「涼しさ」を表現している。
昨晩は、伝統的七夕(旧暦の七夕)の日であったが、昨朝の風には、先日までの猛暑とは違うものを感じた。
調べてみると、咋朝6時の鎌倉の気温は、24.6度、風速は4m/秒。最高気温も30度は超えず、七夕の夜には22度くらいまで下がっている。

「秋も来にけり」とか「あき風ぞ吹く」と詠ってよいくらいに季節は変わりつつあるのだろう。

3番目の歌の「天の羽衣たちや更ふらむ」について、ちょっとだけ意味を調べてみた。新潮日本古典集成の『金槐和歌集』では、樋口芳麻呂が次のように注記している。

「地上の涼しさから、天上で邂逅する二星は、薄い天の羽衣では寒さに耐えられまいと想像し、同情した歌。「たなばたの天の羽衣うち重ね寝(ぬ)る夜涼しき秋風ぞ吹く」(『新古今集』秋上、藤原高遠)を念頭に置く。」(同書p.57)

なるほど。

そういえば、吉本隆明の『源実朝』(ちくま文庫)を読みかけのままにしていた。また、読んでみようか。

◆鎌倉の右大臣の家集「金槐和歌集」
http://www8.plala.or.jp/bosatsu/kinkai.htm
◆金槐集_実朝(和歌データベース)
http://tois.nichibun.ac.jp/database/html2/waka/waka_i147.html

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