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2016年11月29日02:08

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『ホドロフスキーの虹泥棒』

ホドロフスキーの虹泥棒

 長らく日本未公開(米国も)だったホドロフスキーの過去作が公開。
ピーター・オトゥール、オマー・シャリフという『アラビアのロレンス』の主演コンビに加えてクリストファー・リーまで出演しているというのに、どうして公開までこぎつけなかったのか不思議だ。今となっては鬼籍に入った三人の奇跡のアンサンブルを楽しむ。

 さて、どんなものかと思ったらケバケバしくグロテスクさも織り交ぜた実にホドロフスキーらしい映画。グラマラスな女性たちを愛するのもいかにもといった風情。(笑)

 飼い犬と娼婦に愛情を抱き、おべっかを使う人間どもには冷たい仕打ちの大富豪が病気で余命いくばくもなくなる。周囲は莫大な遺産のゆくえが気になる。
大金をめぐっての醜い人間の争いの中、遺産相続の筆頭である甥はフーテン男と地下水道に身を隠す…。

 ある種の寓話で、メッセージも古典的なものだが、ホドロフスキーらしい毒もありまずまず楽しめる。現実が舞台なのに幻想的に見えるのもホドロフスキーならでは。
ポーランドで組んだというロンドンの街並みや下水道のセットも見どころ。
その狭苦しいセットのおかげで舞台的要素が強まり、ディケンズの作品も想起させる。
三人の名優の中ではオマー・シャリフがもっとも生き生きとしている。

 富豪の甥と、召使のように使える男の奇妙な友情物語に虹を渡った故人らを偲ぶ。

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