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2024年02月15日03:35

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『哀れなるものたち』

 このところ「セクシー田中さん」問題に引きずられてたが、ちょっと時間ができたので『哀れなるものたち』を。

 ギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス監督は前作のハリウッド進出作『女王陛下のお気に入り』で、「この人でもハリウッドに飲み込まれてマイルドになるのか」と思ったが、それを跳ね返すような快作。
アカデミー賞外国語映画賞部門にノミネートされた出世作『籠の中の乙女』をほうふつとさせる瞬間がある。
モノクロとカラーシーンの使い分けも明確で、作り物の世界に飛び込んだかのような広角ショット多用が寓話性を高める。

 シュール、エロティック、ユーモラス、いろんな要素が絡み合いながら独特の世界を作り出す。
頭から最後まで手を抜くところがなく、少し長めの尺もあって観る方も体力を使うが、実に見ごたえある作品である。
(とはいうものの、途中でうつらうつらしたところもあったが…)

 スチームパンクの舞台に女性版フランケンシュタインを産み落とし、昨今のフェミニズム運動や自我の開放をうたうテーマ性。
旧態依然とした価値である軍人や弁護士(どちらも男性)が失墜していくのと対照に、無知である(はずの)売春婦らが共栄共存の社会主義性を持ち、やがて社会の頂点へ駆け上がってゆくというのも痛快である。

 もちろんエマ・ストーンの怪演あっての映画だが、ベラの生みの親であるゴッド演じるウィレム・デフォーの淡々と語る哀れな過去も驚きを感じさせる。
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