『
バース・オブ・ネイション』
黒人奴隷にして最初の反乱を起こしたナット・ターナーの伝記映画。
無抵抗の黒人を白人警官が射殺したというニュースも記憶に新しい。
それくらいアメリカでは有色人種差別は消え去らない。
近年、『グローリー』『それでも夜は明ける』といった黒人差別を訴える映画が相次いだが、これもその系列。描かれるテーマが今なお古びていないことがとても悲しい。
史実が基ではあるが、多少のフィクションは加えてある。
そこを割り引いても黒人が非道な扱いを受ける様子は見るに堪えない。
ネイト・パーカーが製作・監督・脚本・主演と務める意欲作。
この映画の原題は「The Birth of a Nation 」。
これは“映画の父”D・W・グリフィスの『國民の創生』と同じで意図的なことらしい。
…というのも上記のグリフィスの映画では黒人を差別的に描いているという。(未見)
技術的には後世に残る傑出したものだが、現在の視点からいうと内容的にはズレている。
そこであえて同じタイトルにして黒人サイドから見た新たな『國民の創生』を描こうということなのだろう。
おりしも時代もD・W・グリフィスの『國民の創生』と同じ時代。
映画の協力にはメル・ギブソンの名があるが、弱者のために立ちあがるヒーロー映画としては『ブレイブハート』との共通点も感じられる。
これがネイト・パーカーの初監督作というが、とても処女作とは思えない力量を見せる。
チョウチョやトウモロコシなどの描写にハッとする。
息苦しいほどの緊張感と、見るに堪えない暴力シーンの連続だが、目を伏せてはいけない“現実”がここにある。
サンダンス映画祭でグランプリ&観客賞の2冠に輝く。
Q&Aで映画評論家の町山智浩が登壇。
深夜遅かったが、大勢のファンが熱心に質問をしていた。
(来年一般公開)
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