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2016年02月09日22:57

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『ボーダーライン』

ボーダーライン
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 原題のSICARIOとはエルサレムを征服したローマ人に対する狂信的暗殺者に由来するといい、メキシコでは<殺し屋>を意味すると冒頭で説明される。

 いつもは邦題に疑問を投げかけることも多いが、これは理解出来る。
まさにここには様々なボーダーラインが引かれているから。

 メキシコとアメリカの国境ラインをめぐる麻薬カルテルを取り締まる映画だが、よく練られた『線引き』が話を複雑かつ面白くしている。
舞台はメキシコとアメリカの国境線にあるフアレスという町。
捜査で失態をおかした甘ちゃんのFBI捜査官のケイト・メイサー(エミリー・ブラント)は特別捜査官マット・グレイヴァー(ジョシュ・ブローリン)率いる特別部隊の麻薬カルテル壊滅作戦に参加させられる。
さらに謎のコロンビア人コンサルタント(ベニチオ・デル・トロ)も帯同…。
暴力や麻薬が日常にあるこの無法地帯でケイトが見たものとは…。

 緊張感でビッシリ汗をかきそうなくらいスリリングなシーンの連続。
監督は『灼熱の魂』『複製された男』のドゥニ・ヴィルヌーヴ。
作品の本当の姿を中々見せずにあっと言わせた『プリズナーズ』を想起する。
本作でもケイトは振り回されっぱなしで、作戦の全容は観客とともに知ることになる。

 ポイントは、なぜ“甘っちょろいFBI捜査官”を厳しい現場に連れていくのか…だろう。
そこに隠された現実の厳しさは理想主義者に伝わるだろうか。
国のボーダー、権力のボーダー、さらには善悪のボーダーまで揺さぶられる。

 エミリー・ブラントとデル・トロの迫真の演技が話に力を与えている。
当初、FBI捜査員にしては線が細いと思ったエミリーだが、進むにつれキャスティング理由には納得できた。
食わせ物を演じるデル・トロはさすがの貫録。
 
 撮影は『プリズナーズ』でもコンビを組んだロジャー・ディーキンス
コーエン兄弟の作品でもよく知られるが、陰影の強い画面作りとドラマ性を盛り込んだ映像に魅せられる人も少なくないのではないか。
隊員たちが夕暮れの中を進むシルエットなんかは印象深い。
ヨハン・ヨハンソンの弦楽器を使った不穏な音楽も効果をもたらす。

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4月9日より公開

 オスカー・ノミネートは以下の3部門。撮影賞・音響編集賞・作曲賞。
たぶん、オスカーで受賞する期待と効果を狙ってのスケジュール決定だと思うけど、個人的には受賞は…厳しいかと思う。悪いというのじゃなく、ライバルが強力すぎる。(笑)
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