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2016年02月10日22:23

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『ソング・フォー・イェテボリ』『グッバイ!ベルイマン』

トーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2016から二本。

ソング・フォー・イェテボリ

 音楽の才能はあるが、いざ本番となると極度のあがり症のためか奇天烈な行動をとって失敗するポール。それは成長しても変わりなく、夢であるプロのミュージシャンには程遠い日々を送る。
それでも幼少時からずっと一緒のジョニーとレナは優しく励ます。
彼らの住む街は裕福とはいえず、地場産業は漁業くらいしかない港町。
そんな地域だからこそ音楽で食べるというのは非現実というくらいの大きな夢なんだろう。

 イェテボリ出身ミュージシャンのホーカン・ヘルストレムの音楽と詩を元に作られた音楽ドラマという話だが、このミュージシャンは日本ではほぼ知名度はないだろう。
『アクロス・ザ・ユニバース』や『マンマ・ミーア!』ほど使用曲は多くないが、映画のタイプ的には近いのかもしれない。
やりたいことを全部詰め込みましたという欲張りなお話で、少し道に迷っている印象も受ける。
音楽や映像は中々良いのだが、脚本が成立している気がしない。
主役のわざとらしい芝居もやや興ざめ。(これほどナーバスなキャラに見えない)
クライマックスで三者三様の緊迫感ある場面をクロスオーバーさせたかったのだろう。
その意図はよくわかるが、どう見ても展開にムリを感じてしまう。

 あがり症を回避するための苦肉の作戦で「目隠し」をして演奏するというアイディアを見せるが、現実問題を目隠しして見てないことの比ゆなのか。
しかし、作曲やプレイも人前でないなら問題ないとすれば、他に方法はありそうなもの。

 夢をあきらめない大切さはわかるけど、作品の方向性が定まっていない感じだ。
音響効果で評価されたというだけあり、このサラウンド感は面白味があるし、映像も冒頭のトリッキーな長回しには大いに期待が持てたのだが…。
魅力的な音(メロディ)が天から降ってくるという例えをベタな映像にしていたのは笑った。

フォト



グッバイ!ベルイマン

 映画の歴史を紐解くときに必ず上がる監督がいる。
スウェーデン出身のイングマール・ベルイマンもその一人。
少し取っつきにくい印象があり、余り鑑賞してこなかったが、逆に彼の“魅力を語るドキュメンタリー作品”から入るのも一つの手かと思っての鑑賞。

 生前暮らしていたフォーロー島の自宅跡を著名人が訪ね歩くというスタイルで、作品とともに映画関係者のインタビューで綴られる。
ともかく登場する映画監督や俳優たちが超豪華。
それだけ業界人に与えた影響は大きかったということだろう。

一例をあげると…
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
ミヒャエル・ハネケ
アン・リー
マーティン・スコセッシ
ロバート・デ・ニーロ
ウディ・アレン、
などなど…。

 ウディ・アレンなんてただのファン発言だし、ハネケもうれしそうにベルイマンの部屋を散策している様子が映される。
とりわけインパクトが強かったのはラース・フォン・トリア―監督
下ネタ連発で笑いを振りまく。
ディスる発言もあるが、それこそ“愛の裏返”しとキュンとなる。(笑)

 部屋のさりげないメモなどもベルイマンの生涯と照らし合わせると、隠された深い意味が読み取れたりして、興味ある人にはたまらないドキュメンタリーとなっている。

 かなりの蔵書やビデオの収集家であったようで、意外なタイトルに目を奪われる。
本当なら自分の本棚なんて他人に見られたくないかもしれないが、思いもよらなかった一面を知れたのは良かった。
これから残された作品を鑑賞する際の指針となる思いがした。

フォト



 この日だけ、上映後にスカイプで映画評論家の町山智浩がトークイベントを行った。
アメリカ在住なので他の回は時間帯が無理なんだろう。(向こうは深夜から明け方の時間帯)

 興味深いのはイニャリトゥ監督は、ベルイマンの邸宅を訪れて『バードマン〜』のヒントにしたのではないかという推察を述べていた。
他にもタルコフスキーやD・リンチ、D・フィンチャーらへの影響などを解説。
『ファイトクラブ』は『ペルソナ〜』の強い影響がみられるなんて聞くと、比較して見たくなる。

 町山氏は「ベルイマンの映画を3本以上見ている人は、どれくらいいるかな?」と質問されていたが、あいにくとワタクシめは2本という体たらく…。(涙)
まるで都市開発地域で、地上げ屋に抵抗して残った家みたいな感じになってしまった。

 ざっと数えてみたら14作品ほどソフトを所有しているみたいなので、いずれキチンと見ないとならないと肝に銘じております。あせあせ

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