mixiユーザー(id:11939455)

2015年11月10日01:58

408 view

『錯乱』&『フル・コンタクト』@第28回東京国際映画祭

第28回東京国際映画祭より二本。

カチンコ『錯乱』(ワールド・フォーカス)

 見ているこちらが錯乱しそうだった。(苦笑)
テロリスト逮捕のためにゴミを捜査するという条件付きで釈放される男と、野犬狩りをする弟の話。
テロが横行する時代は、まさに現在を象徴する。

 実際に90年代末にあったトルコの社会情勢を参考にしているらしい。
しかし、場所や固有名詞を特定しないのは普遍性を持たせるためだという。
その狙いは分かるが、時代背景などが不明だとついていくのはなかなか大変。
この辺は一長一短かもしれない。

 野犬狩りの仕事が自分たちの社会のメタファーとなっている。
ゴミの中に“爆発しそうな危険なモノ”が潜むというのもまた暗喩であろう。
どこからどこまでが現実か悪夢か分からない構成に戸惑う人は少なくないと思うが、政治的な過ちが庶民生活を破壊する怖さは伝わる。

ヴェネチア映画祭2015で審査員特別賞受賞。

フォト

ゲストはエミン・アルペル監督

カチンコ『フル・コンタクト』(コンペティション)

 現代人はソーシャルメディアの多用でつながっているようでつながっていないという疎外感を持つ。
デジタルツールの発達で知識は簡単にいくらでも手に入る。だが、それを使いこなす知恵の方はどうだろう?
人とのコミュニケーションが苦手な男は心の隙間を埋める<何か>を求める。

 冒頭では、もう一つの『ドローン・オブ・ウォー』かと思っていた。
異国にいながらスイッチ一つで、危険も痛みもなく仕事が完了する。
しかし、途中から精神世界の方にシフトする。

 ドローン攻撃で心が疲弊した男は、心の均衡を取り戻すために肉体のぶつかり合いを求める。
その行き着く先は必然なのか。
ストイックで孤独な男アイヴァンをグレゴワール・コランが熱演。
クライマックスシーンの迫力は臨場感たっぷり。

 全編メタファーに彩られた寓話と言えるだろう。
“勃起しない”というのも端的に心の病を表している。(笑)←オイオイ

 表現のスタンスは違っていても目指すのは『ドローン・オブ・ウォー』と同じく人間性の回復がテーマと見ていいか。
極力セリフを控えて、力強い映像で語る。

フォト


フォト

 監督と脚本のダビッド・フェルベークと主演男優のグレゴワール・コランが登壇。
映画で見てもコランは大きいと思ったけど、かなり背が高い!

フォト


 どちらも見えにくい敵と相手の顔の見えない戦い方が現代のテロリズムを示すようだ。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年11月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     

最近の日記

もっと見る