『
ムーン・ウォーカーズ』
あのアポロ計画に隠された新事実?
1969年、ソ連と宇宙開発で国家の威信をかけていた米国は、万が一にでも月面着陸の映像が撮れなかった場合の“保険”を掛けていた…という発想で作られた映画。
実際に「あの世紀の映像」が捏造だったという噂も耳にしたこともある。
真実のほどは映画を見ていただくとして(笑)、失敗するわけにはいかないからと、当時『2001年宇宙の旅』を撮ったばかりのキューブリックに白羽の矢を立てる。
かたやアメリカに住みベトナムの悪夢にうなされながら、さらに悪夢のような指令を受けるCIAのキッドマンと、かたやロンドンに暮らす運もツキも実力もなく(笑)悪夢のような人生を送るジョニー。
出会うはずのなかった二人が出会って巻き起こすドタバタコメディ。
サイケデリックなオープニング・アニメーションからどっぷりと描かれる“スウィンギング・ロンドン”の様子が楽しい。
登場人物にまともな人間がいないほどトンチキの見本市のような映画。
ドラッグに裸の美女など、いかにも時代を思い起こさせるシーンが随所にみられる。
エロティックで退廃的なシーンはキューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』を彷彿とさせる印象も…。
つまらないことに国家のメンツでバカをするアメリカ批判の英国映画かと思ったらフランス映画。
ある意味、狂った時代の象徴として描かれたのかも。
インチキマネージャー<ジョニー>にハリポタのロン役で知られるルパート・グリント、ベトナム帰りのCIA諜報員<キッドマン>に怪優ロン・パールマンが扮する。
さすがパールマンという見せ場に思わずガッツポーズ。
本作が長編デビューとなったアントワーヌ・バルドー=ジャケ監督はオシャレ映像で知られる
ミシェル・ゴンドリーも属する映像プロダクション<パルチザン>に所属しているということ。
エンドロールまで期待にたがわぬ凝った映像が見どころ。
したまちコメディ映画祭in台東にて先行上映。
(11月14日より一般公開)
ゲストに
篠原ともえが登壇。
総合プロデューサーである
いとうせいこうとトークイベントを行った。
なんでも篠原は<空ガール>という話で夜空についてのウンチク(月見や星の観察について)を語っていた。
秋の月が有名なのは、見上げた高さが見やすい軌道にあるからなんだそう。
空気がきれいな冬の方がもっと見やすいかと聞かれ、「きれいだからこそ星の方がきらめく」とも。
この映画、世界的にみてフェスティバルくらいしか公開されていない。
英米はおろか、制作国の仏・ベルギーでも未公開なのだ。
(珍しいこともあるな)
他の映画を見る予定はないけど、<いとうせいこう>のサイン付き公式カタログを購入。
(『グリーン・インフェルノ』は一般公開でみよう。)
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