とりあえず、お話のおさらいをする意味で便乗発売になったビレ・アウグスト版の『レミゼ』をBD鑑賞。
レ・ミゼラブル [Blu-ray]
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=11939455&id=1652944
『
レ・ミゼラブル』(2012年)
舞台版は未見。
およそ3時間あるとはいえ、膨大な量の原作は到底描ききれない。
この原作が幾度となく姿を変えて登場するのは、もちろん原作に描かれるテーマが普遍だからであろうが、とりわけ対を成すジャン・バルジャンとジャベールの描き方に注目される。
当初の企画ではセリフと歌が半々だったと聞く。それをトム・フーパー監督の「それでは不自然」とばかり「
いっそ全部歌にしてしまえ」という判断は理解できる。(私も唐突に歌いだすのは苦手。)
口パクがイヤで同録にこだわったというだけあり、演技と声の違和感はないが、歌声そのものには違和感を覚える人も…。
最初、キャスティングを聞いた段階ではジャン・バルジャンとジャベール役に<
逆バージョンもあり>じゃないかと思っていた。
だが、観たらなるほどと納得。
歌のうまさでヒュー・ジャックマンに軍配が上がる。バルジャンの魂を見事に歌い上げていると思う。逆に貫禄ある体つきと比べ、ラッセル・クロウの声質は随分と軽い印象を持つ。彼の役柄に今ひとつ“重み”が出ていないとすれば、この点ではないか。あるいはジャベールの出自について詳細が語られない点かもしれないが…。
しつこいほど割り込んでくるコメディーリリーフのテナルディエ夫妻には思わず笑みがこぼれる。
一流スタッフが集結しただけあり、衣装やセット・美術は言うことなし。また<舞台>を飛び出したロケーションも素晴らしい。
掃き溜めに鶴のアン・ハサウェイの熱演も光り、彩られたナンバーの見事さはいまさら言うまでもないが、心のどこかで<名場面集か?>と感じずにもいられなかった。
臨場感や躍動感のためだろうが手持ちカメラのブレはもう少し押さえても良かったかと内心思う。
しかし力強いラストショットは、なぜか高揚感より物悲しい気持ちになってしまった。
ところで、セリフと歌の半々がイヤなら、なぜ「
全部セリフ仕立て」にしなかったんだ?(笑)
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