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2025年09月04日16:19

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『映画「六つの顔」を観てきました』

先日は、映画「六つの顔」を観てきました。
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現在94歳の人間国宝狂言師、二世「野村万作」(のむらまんさく)さんを追ったドキュメンタリー映画です。
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万作さんのご著書「狂言を生きる」も読んだことがありますし、万作さんの狂言は何度か観たことがあるのですが、このドキュメンタリー映画もよく出来ていて、興味深く観ました。
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映画の後半では、狂言「川上」が演じられます。
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古典喜劇ともいえる狂言の中で、川上は異色の演目といってもいいと思います。
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狂言に生きるよりあらすじを引用します。
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吉野の里に住む夫婦。十年前に盲目となった夫は、霊験あらたかという川上の地蔵に参詣する。
参詣の甲斐あり早速目が明くが、地蔵のお告げには「連れ添う妻が悪縁ゆえ離別せよ」という条件があった。
それを聞いた妻は腹を立て、地蔵をののしり、夫が盲目に戻ろうとも絶対に別れないと言い張る。
夫が離縁を諦め二人で帰途に就くと、夫の目が痛み出し再び盲目になる。
夫婦は涙にくれるが、「のう愛しい人こちへござれ」「手を引いてたもれ」と手を取り合って終曲となる。
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この曲に対する思いは、万作さんがご著書で語っておられますが、なぜこの映画の最後に「川上」を持ってきたのか、これが何を意味するのかと考えながら観ていました。
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目が見えるようになった夫は、妻に別れようと切り出します。
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お前は新しい夫を見つけろ、俺も新しく別の妻をめとると。
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94歳の万作さんが語ると、台詞の奥に俺もお前も新しい人生を生き直そうという意味が込められているように感じます。
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盲目から目が見えるようになったことを、「若返り」とも捉えられる気がするのです。
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しかし結局は、妻との生活を選び再び盲目になります。
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僕はこれをせっかく若返ってまた新しく人生を生きるチャンスがあるのにそれを捨て、今のあるがままの自分を、自分の周りの環境を受け入れて生きることを選んだとも捉えられました。
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演目としては悲劇であり、夫婦愛でもあります。
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しかしこの年齢の万作さんが演じると、今までの人生には苦もあり、老いにも苦はあるが、後悔のない人生であり、やり直したいとは思わない。 今が良い。 今が最良。 善哉善哉。 と演目が終わり、舞台から引いていくように見えました。
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この映画の最後に演じられる「川上」。
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これに万作さんという人間のすべてを語らせて幕としたのではないでしょうか。
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いつまで舞台でご活躍されるか分かりませんが、一つ一つ悔いのない舞台人生を歩みなられると思います。
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