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2026年09月29日23:16

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「左利きの少女」ツォウ・シーチン〜カメラは近くで追いかけ続ける〜

『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2017)、『レッド・ロケット』(2021)などショーン・ベイカー監督作のプロデュースやベイカー監督との共同監督作『テイクアウト』で知られるツォウ・シーチンの単独監督デビュー作。

台湾の台北の「夜市」が舞台。左利きの5歳の少女イージン(ニーナ・イエ)をiPhoneのカメラは追い続ける。狭い路地や夜市の屋台の隅々まで入り込み、少女の目線の高さで、夜市の雑踏を映し出す。借金を背負ったシングルマザーのシューフェン(ジャネル・ツァイ)は屋台で麵の店を始め、ハイティーンの姉イーアン(マー・シーユエン)は露出度の高い服を着て「ビンロウ売り(檳榔姉妹)」として働く。生活を立て直すため田舎町から戻ってきた家族が台北で暮らし始める場面から始まる。イージンが見る万華鏡は、カラフルにいろんな色を浮き上がらせる。街は交通量も多く、ごちゃごちゃとビルも密集しており、部屋も狭い。その密度と距離の近さがこの映画の特徴だ。

おじいさんから、「左手は悪魔の手だ」から「左手を使うな」と厳しく言われたイージンは、「悪魔の手」で万引きをするようになる。そして左手で投げたボールを追いかけた飼っていたミーアキャットを死なせてしまう。「悪魔の手」だから、死なせてしまったのだと、その罪悪感から「呪いの言葉」を信じていくイージン。さらに家族それぞれの悩みと生きづらさ、苦しみが描き出されていく。

「悪魔の手」が皮肉にも「天使の手」に反転したり、親族パーティーでの大混乱など、物語としては面白いのだが、登場人物と近い距離にあるiPhoneのカメラが息苦しい。ずっと近接して人物を追いかけ続けるので、観ていて疲れてしまうのだ。引きの映像がほとんどない。人物の動きとともにカメラは追いかけて動き続ける。この家族を引きのカメラで捉えることがほとんどない。だから引きの目線で見られない。ずっと登場人物のそばにいる感じが、この映画の良さでもあるのだろうが、私は距離が近すぎて疲れてしまった。

私も「左利き」なので、左利きの肩身の狭さはよく分かる。私も子供時代は、左利きを何度も直されたし、「ぎっちょ」と言われたこともある。少数派はいつだって多数派に従わざるを得ない。自らの身に起こる悪いことは、「悪魔の仕業」なのか。呪われた手、呪われた運命、ツイていない人生。夫に苦労させられたことも、高校を中退して大学に行けなかったことも、それもこれも自分の考え方や気持ち次第。少数派でも多数派でも関係ない。自分の人生は自分で引き受けて生きていくしかない。エネルギッシュで喧騒のある賑やかな街をバイクで駆け抜けるように、まわりに惑わされず、したたかにしなやかに生きていくしかないのだ。彼女たち見ていて、そんなことを思った。


2025年製作/108分/G/台湾・フランス・アメリカ・イギリス合作
原題または英題:左撇子女孩 Left-Handed Girl
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム

監督:ツォウ・シーチン
製作:ツォウ・シーチン、ショーン・ベイカー、マイク・グッドリッジ、ジャン・ラバディ、アリス・ラバディ
製作総指揮:アレックス・C・ロー ニール・バーラム、アディティヤ・チャンド、ジェニファー・ジャオ
脚本:ツォウ・シーチン、ショーン・ベイカー
編集:ショーン・ベイカー
キャスト:ニーナ・イエ、マー・シーユエン、ジャネル・ツァイ
写真引用コピーライト2025 LEFT-HANDED GIRL FILM PRODUCTION COMPANY LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
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