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2026年09月23日11:18

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「トパーズ」アルフレッド・ヒッチコック〜キューバ危機におけるスパイたちの暗躍〜

ヒッチコックの東西冷戦時代のスパイ映画だが、いまひとつパッとしない。スパイ活動をめぐる緊迫感はあるものの、キャラクターは浮き上がらず、キューバでスパイ活動をしていたカリン・ドールが撃たれて倒れるときの紫のスカートの広がりが血のように見えるのを、真上からの捉えた美しいショットのみが印象に残った。1962年のキューバ危機の背景で暗躍した当時の政治的な緊迫感が強調されている。

オープニングはニュース映像のようなソ連軍の行進風景が長々と映し出され、音楽が鳴り響く。そしてソヴィエトの高官とその妻、娘とがコペンハーゲンで「亡命」する場面が始まり、尾行の追跡から逃れる街での様子がスリリングに描かれる。亡命したのはソヴィエトのKGBの高官で、彼の情報から、ソヴィエトがキューバに核弾頭を配備している可能性が示される。その裏付けの証拠を手に入れるため、スパイ活動が展開される。アメリカのCIAはキューバから嫌われており、接触できない。そこでCIAのノルドストロム(ジョン・フォーサイス)はフランス人のアンドレ・デヴェロウ(フレデリック・スタフォード)にキューバへの潜入を依頼する。

キューバに渡ったアンドレは、現地でスパイ活動をしていて、アンドレの愛人でもあるファニタ・デ・コルドバ(カリン・ドール)に接触。現地でソヴィエトからミサイルが搬入されている様子をカメラで撮影しようとする。しかし、ファニタの仲間が捕まり拷問を受けて、ファニタも殺されてしまう。愛人ファニタの機転で間一髪逃れたアンドレは、証拠写真をアメリカに持ち帰ることができた。スパイ道具がふんだんに登場。チキンの肉の中や手すりのパイプや髭剃りの替え刃など、証拠はあちこちに隠され、写真は愛のメッセージか書かれた手帳のページに隠され、検閲に見つからずに済む。

しかしアメリカに戻ったアンドレは、亡命したKGB高官からフランス諜報機関内に「トパーズ」と呼ばれるスパイ組織があると聞かされる。フランスの諜報部員であるアンドレは、その「トパーズ」に属している二重スパイとは誰なのかを探るために、フランスへ戻る。ここからの展開がタイトル的には本筋のような気もするが、後半はわりとあっさりしている。このフランスでのスパイ事件は実際にあったものを下敷きにしているそうだ。

カメラを遠くに構えて、ガラス越しやロングショットで会話が聴こえない演出を何度かやっている。アンドレがニューヨークで、亡命キューバ人組織の協力等を得てソ連の機密書類の写真撮影をする場面、アンドレは街中にいてガラス越しに見守っている。記者に扮した花屋の黒人スパイがキューバの執務室に入り込んでいく。そこでは会話は聴こえず、ガラス越しのやり取りだけを映して緊張感を高めている。また、最後のNATO会議前に「トパーズ」の首謀者を排除する場面でも、ロングショットで会議メンバーがヒソヒソ話をして首謀者を部屋から外に出す。ヨリなどを入れて、見破られた二重スパイの顔などを映したりはしない。そして銃声の音だけを響かせて、彼が自殺して事件が終わったことを描写する。こういう演出はヒッチコックらしくシャレていて、やはり見事だと思った。


1969年製作/アメリカ
原題または英題:Topaz
配給:ユニヴァーサル

監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚色:サミュエル・A・テイラー
原作:レオン・ウーリス
製作:アルフレッド・ヒッチコック
撮影:ジャック・ヒルドヤード
美術:モーリス・ジャール
編集:ウィリアム・ジーグラー
キャスト:フレデリック・スタフォード、ジョン・フォーサイス、ダニー・ロバン、カリン・ドール、ジョン・バーノン、ミシェル・ピッコリ、フィリップ・ノワレ、クロード・ジャド、ミシェル・シュボール
☆☆☆3
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