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2026年01月29日17:05

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「黄金の腕」オットー・プレミンジャー〜フランク・シナトラが麻薬中毒者を演じる傑作〜

フランク・シナトラの歌うシーンは一切なく、カード賭博の凄腕のディラーでドラマーとして再起を目指すも、麻薬中毒で苦しみ葛藤する男を体当たりで演じている。共演のキム・ノヴァクが妖艶な魅力を放ち、「映画に初めてモダンジャズが映画音楽として登場した作品」とも言われており、オープニングタイトルがソウル・バスのデザインでジャズの音楽とともにもカッコいい。エルマー・バーンスタインの音楽が、シナトラが麻薬に手をだそうとする場面をジャズの演奏で盛り上げていく。ネルソン・オルグレンの小説『黄金の腕』が原作で、脚本も素晴らしく、人間ドラマとして良く出来ている傑作だと思う。
https://youtu.be/kq8WGc-AI4M?si=e0TnvIDRkf0bi5C3

監督はオットー・プレミンジャー。マリリン・モンローの『帰らざる河』(1954)、ジーン・セバーグの『悲しみよこんにちは』(1957)、『栄光への脱出』(1960)などの作品があるが、『バニーレークは行方不明』(1965)というサスペンス映画の傑作も撮っている。

主人公のフランキー(フランク・シナトラ)が麻薬中毒者の刑務所病院から出てきた場面から始まる。バスを降りて馴染みの店に入るまでのショットをクレーン横移動のワンカットで捉え、スタジオセットの街の通りの雰囲気もいい。フランキーの相棒のキャップに厚い眼鏡をかけた小男スパロー(アーノルド・スタング)がいい味を出しており、犬の手入れをしている彼の眼鏡を外して自分が戻ってきたことを驚かせる。カード賭博の凄腕ディラーのフランキーは、飲酒運転で妻のザッシュ(エリノア・パーカー)を歩けない車椅子生活にさせてしまった負い目を抱えている。ドラマーとしての技術を刑務所で覚え、新たな人生を歩もうとしていたフランキーだが、ザッシュは今まで通りディラーの仕事を続け、自分のそばにいて世話し続けて欲しいと願っていた。実はもう歩けるのに、フランキーにそばにいて欲しいために、歩けないフリをしているのだった。フランキーには思いを寄せる酒場のホステス、モリー(キム・ノヴァク)がいるのだが、ザッシュのことを考えると彼女を捨ててモリーと暮らすことは出来ない。

麻薬の売人ルイ(ダーレン・マクギャヴィン)は彼につきまとい、クスリに再び手を出させようと近づく。フランキーにドラマーとしてのオーディションのチャンスが迫る中で、フランキーのカード・ディラーとしての腕前を見込んでスリフカ(ロバート・ストラウス)が金儲けを企む。再び賭博に引っ張り込まれたフランキー。ルイから何度かクスリを買っていたフランキーの手が震え出す。負けがこんで、イカサマをやるように言われるフランキーだったが、手元がバレてしまう。中毒症状から逃れられなくなったフランキーはルイを襲ってクスリを手に入れようとするが、金がない。そんなフランキーを探していたルイが、妻のザッシュのところに来ると、ザッシュは歩いているところを見られてしまう。言いふらぞと脅されてパニックになったザッシュは、ルイを階段から突き落として殺してしまう。薬物中毒者のフランキーにルイ殺しの容疑がかけられ、街に出られなくなったフランキーは、モリーの部屋に閉じこもってクスリの禁断症状と闘いながら部屋で暴れ回る。やっと禁断症状から抜け出たフランキーがザッシュの元へ戻り、今度こそ新たな人生を歩もうと、彼女の元を去ることを告げる。「モリーと逃げるのね」と引き留めようとしたザッシュは車椅子から立ち上がり、歩けることがバレてしまう。警察はザッシュがルイ殺しの犯人だと悟り、追いつめられたザッシュは階上の手すりから自ら身を投げる。

ちょっとうまくいかないことがあると、クスリに手を出してしまう弱い心を持っているフランキー、車椅子生活を装うことでしか彼を引き留められない闇を抱えている妻のザッシュ、孤独と寂しさからフランキーがいない間に男を作って生きていくしかなかったモリー。フランキーだけが頼りの弱きスパロー。登場人物たちのそれぞれが抱えている影や闇が見事に表現されている。特にザッシュが寂しいとき吹けと言われて持っていた笛を吹きながら死んでいく場面はせつない。孤独と寂しさから来る人間の弱さ。それをモダンジャズの音楽とともにクールに描かれている傑作である。


1955年製作/アメリカ
原題または英題:The Man with The Golden Arm
配給:松竹外画部

監督:オットー・プレミンジャー
脚色:ウォルター・ニューマン、ルイス・メルツァー
原作:ネルソン・アルグレン
製作:オットー・プレミンジャー
撮影:サム・リービット
音楽:エルマー・バーンスタイン
キャスト:フランク・シナトラ、エリノア・パーカー、キム・ノヴァク、アーノルド・スタング、ダーレン・マクギャビン、ロバート・ストラウス、ジョージ・E・ストーン、シェリー・マン
写真引用コピーライト ブレーントラスト
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