国家を相手に戦う男の物語。ポリティカル・サスペンスである。タイトルの「wilight’s Last Gleaming」(黄昏の最後の輝き)とは、アメリカ国歌「星条旗」の歌詞からとられている。刑務所を脱獄した男たちが軍のミサイル基地、モンタナ州にあるサイロ<タイタン・ミサイル格納庫兼発射台>に侵入し、コントロールセンターを占拠。主犯は、基地の設計者でもある元・空軍大佐デル(バート・ランカスター)。彼らはホワイトハウスに対し、ベトナム戦争当時の機密文書の公開、逃亡資金1000万ドル、そして人質として大統領の身柄引き渡しを要求する。
派手な爆発もなければ、カーチェイスもないし、銃撃戦もそれほど大がかりなものはない。どちらかというと交渉劇だ。核を積んだ大陸間弾道ミサイル9基の発射ボタンを手に、脱獄したデルがアメリカ大統領や空軍を含めた国家と対決し、交渉するスペクタクルな物語。ミサイルが発射されたら世界は終わり。一触即発の緊張感が続くのだ。元空軍大佐のデルは、基地の設計者である設定だからとはいえ、わりと簡単にミサイル基地に潜入し、サイロ3のコントロール基地を占拠してしまう。ミサイル基地のセットもわりとチープだし、簡素な舞台設定だ。この映画は、映像スペタクルというよりも、心理戦の交渉のやり取りにこそ面白さがある。2分割の画面、電話でのやり取り、コントロールセンターの監視カメラ映像と基地に秘かに潜入しようとする特殊部隊との攻防。そしてアメリカ合衆国の大統領官邸に集まる大統領をはじめ国防長官(メルヴィン・ダグラス)、国務長官(ジョセフ・コットン)、CIA長官などの国家の重要な人物たちの話し合い。デルがテレビで国民に発表しろという機密文書とは、ソ連に国家の威信を示すことこそが戦争の目的で、ベトナムでアメリカ軍兵士たちの犠牲者が増え続けても構わないというかつての政府の議事録を記した文書である。
大統領(チャールズ・ダーニング)は良心的な政治家として描かれる。機密文書の内容を知らなかった大統領は、迷った末に自らの死を覚悟してモンタナのミサイル基地に向かう。そしてアメリカの民主主義を守るため、デルの要求である文書を明らかにすることを決意する。しかし、国防長官をはじめ政府高官たちは、機密文書を公開するつもりはない。大統領の代わりはいくらでもいる。デルの宿敵であるマッケンジー将軍(リチャード・ウィドマーク)は、基地から出てきたデルたち犯人を狙撃しようと準備する。大統領に当たっても構わないかのように・・・。
役者たちの緊迫感のある芝居とそれぞれの心理戦の駆け引きこそが見どころだ。大統領が死の間際で機密文書の発表を国防長官(メルヴィン・ダグラス)に託すが、彼は頷きもしないし、何も言わない。そんな人間たちの底知れなさこそが恐ろしい。ホワイトハウスとミサイル基地のコントロールセンター、マッケンジー将軍の空軍司令基地という限定した空間だけを描くことで、交渉のサスペンスを盛り上げていた。
1977年製作/146分/アメリカ
原題または英題:Twilight's Last Gleaming
配給:boid
監督:ロバート・アルドリッチ
製作:マーブ・アデルソン
原作:ウォルター・ウェイジャー
脚本:ロナルド・M・コーエン、エドワード・ヒューブッシュ
音楽ジェリー・ゴールドスミス
キャスト:バート・ランカスター、リチャード・ウィドマーク、ロスコー・リー・ブラウン、ジョセフ・コットン、メルビン・ダグラス、チャールズ・ダーニング、リチャード・ジャッケル、ウィリアム・マーシャル、ジェラルド・S・オローリン、ポール・ウィンフィールド、バート・ヤング
写真引用(C)1977 Geria Film GmbH
☆☆☆☆4
ログインしてコメントを確認・投稿する