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2025年10月16日22:10

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「ロビンソン漂流記」ルイス・ブニュエル〜サバイバル生活で人間の本性を描く〜

ルイス・ブニュエルは、本来人間が持っている本性みたいなモノを描きたいんだなぁ、とあらためて思った。剥き出しの欲望や暴力、人間そのもの。『この庭に死す』(1956)では、密林のジャングルに迷い込んだ極限状況で立場の違う5人の男女の最小単位のグループを描いていたが、本作もまた究極のサバイバルで一人の人間の原点そのものを描いて見せた。1952年メキシコ時代の作品だ。

みんながよく知っている『ロビンソン・クルーソー漂流記』、無人島に流れ着いたロビンソー・クルーソーが描かれる。なにせ登場人物が一人で無人島で暮らす話だ。こんなの映画になるのか?と疑問に思いながら見始めた。一人だから会話が成立しない。一人で海から泳いで島にたどり着く場面から始まる。1675年、アフリカからブラジルへ向う途中、ロビンソン・クルーソー(ダン・オハーリー)の乗り組んだ船は、一晩中すさまじい風雨にもまれ、ついに難破してしまった。座礁した船を見つけ、食糧や武器を島に運び込み、生き残っていたのは猫一匹と犬一匹。住む家を作り、山羊など動物たちを飼い慣らし、インコに喋らせたりして、銃で野鳥や動物を捕獲し、食糧を確保しながら動物たちと暮らし始める。やがて小麦も作ってパン作りも始めたりするが、話し相手のいない絶対の孤独に耐えきれない。気が狂いそうになり、幻聴の歌声が聞こえ、山に向かって叫び、自らのコダマする声を聞く。

島に来て18年が経過したあるとき、自分以外の足跡を発見する。そして自分以外の人間の存在に怯える。助かるかも?ではなく、襲われる恐怖が先にくる。武器を準備し、爆弾も作り、襲撃に備える。どうやら近くの島に住む人食い人種の部族らしい。島にやって来て罪を犯した人間を罰する儀式をやっている。その捕らえられた一人が逃げ出したのを助け、自分の家来にする。金曜日にやって来たのでフライデー(ジェームズ・フェルナンデス)と名付け、マスターとフライデーの主従関係が出来上がる。言葉を教え、銃で威嚇しながら使役する。二人の間に信頼関係が生まれるまで、力で屈服させようとするのだ。自分の命が狙われるかもしれないと、フライデーを足枷で拘束したりするが、フライデーの忠誠心を知り、協力関係が生まれる。銃を教え、一緒に狩りをする。効率よい暮らし。

さらに28年の歳月がたち、ロビンソンがフライデーと大きな船を造って故郷に帰ろうとしていた時、白人の船乗りたちが二人の捕虜をつれて、孤島にやって来た。浜辺にいた原住民たちも銃で殺している。ロビンソンは捕虜を助け、船で反乱が起きたことを知る。フライデーが金貨を身につけていることを見つけ、反乱を起こした白人たちは島に財宝があると思い込み、ロビンソンの住居に侵入する。そこを助けた捕虜と一緒になって包囲したロビンソンは、船長の計らいで、故郷のイギリスへとフライデーを連れて戻っていくのだった。28年2ヶ月19日ぶりの島からの脱出であった。

描かれるのは、人間の絶対の孤独と一人では生きられないこと。狩猟・農耕生活があり、暴力による他者を服従させ、支配ー被支配の関係を作る。それが協力関係が作られると狩猟・農耕の共同作業による効率化が図られる。さらに富の獲得をめぐって他集団との抗争、戦争へとつながっていく。そこでは協力関係によって優位に立つ策略も欠かせない。暴力による支配か、協力関係による共同体の維持か。人間の欲望は尽きず、疑心暗鬼や対立、権力争いや生活を守るためのは諍いは、いつまでたっても終わらない。人間は相手より優位に立ちたいという欲望があるのだ。だから暴力は消えない。


1952年製作/メキシコ
原題または英題:Adventures of Robinson Crusoe
配給:ユナイト

監督:ルイス・ブニュエル
脚色:フィリップ・ロール、ルイス・ブニュエル
原作:ダニエル・デフォー
製作:オスカル・ダンシヘルス、ヘンリー・F・エーリッヒ
撮影:アレックス・フィリップス
美術:エドワード・フィッツジェラルド
音楽:アンソニー・コリンズ
キャスト:ダン・オハーリヒー、ジェームズ・フェルナンデス
☆☆☆3
写真引用(C)Oscar Dancigers Production
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