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2025年07月10日22:30

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「ショーイング・アップ」ケリー・ライカート〜怪我した鳩は飛び立つ〜

ケリー・ライカート監督がミシェル・ウィリアムズと組んで作った4作品目だそうだ。アーティストの物語でアトリエ室内の描写が多く、いつもの旅があるわけではないので、なかなか地味な作品だ。

彫刻家のリジー(ミシェル・ウィリアムズ)は、間近に控えた個展に向け、アトリエで日々作品の制作に取り組んでいる。ポートランドにあるオレゴン美術工芸大学アートカレッジが舞台で、母のもとでリジーは事務員の仕事もしている。様々なアーティストたちの作品作りと日々の暮らしが淡々と描かれる。個展に向けて制作に集中したいリジーだが、なかなか進まない。ある夜、飼っている愛猫が鳥にイタズラして羽をむしり取って怪我をさせてしまう。「バカな鳥。違うところで死んでちょうだい」とちり取りで窓の外に捨てるリジー。「私って最低」と呟く。ところが翌朝、隣人のジョー(ホン・チャウ)が怪我している鳩がいたと拾ってくるのだ。昨夜捨てた鳥だ。成りゆきから一緒に怪我した鳩の手当てをして、「不在の間だけ預かって」とジョーから頼まれ、鳩を預かることになる。「あなたって最高」と言われる皮肉。アトリエで作業していると鳩が急に鳴き出して、リジーは気になって動物病院に連れて行く。仕事が中断されてジョーにいらつくリジー。さらに部屋のお湯が出なくてシャワーに入れないので、大家である隣人ジョーに修理を頼むのだが、ジョーも作品制作で忙しくて、なかなか直してもらえない。リジーの苛立ちはさらに募っていく。

美術学校で働く母は陶芸家で自由気ままな父に無関心。父は家に奇妙な男たちを泊めていて、リジーはその男たちのことが気になってしまう。またアーティストだが心に病を抱えている兄は、庭に巨大な穴を掘っていたりして行動が怪しい。母に連絡するが、母はその後、兄がどうなったか報告をしてくれない。いろいろと気になることばかりで、個展も迫ってくる。自信作だった彫刻も窯で焼いたら焦げてしまった。そんなこんなでやっと個展が始まるのだが、評判は上々。隣人のジョーも鳩を連れて個展にやって来た。すると、来ていた子どもたちが鳩の包帯を解いてやり、鳩がいきなり室内を飛ぶ。怪我も治って飛べるようになった鳩を神経質になっていた兄が空に放つ。リジーとジョーが話ながら道を歩いて行く後ろ姿のロングショットで映画は終わる。

個展が近いと言いながら、理想的なタイヤが見つかったと言って木に吊り下げてタイヤのブランコを作っているジョー。お湯が出ないから早く直してと苛つくリジー。対照的な性格のアーティストの女性二人の日々のささやかな諍い。苛立ちとさざ波の日常、それでも怪我した鳩は飛び立ち、時は過ぎてゆく。


2022年製作/108分/G/アメリカ
原題または英題:Showing Up
配給:U-NEXT

監督:ケリー・ライカート
製作:ニール・コップ、ビンセント・サビーノ、アニシュ・サビアーニ
脚本:ジョン・レイモンド、ケリー・ライカート
撮影:クリストファー・ブロベルト
美術:アンソニー・ガスパーロ
衣装:エイプリル・ネイピア
編集:ケリー・ライカート
音楽:イーサン・ローズ
キャスト:ミシェル・ウィリアムズ、ホン・チャウ、メアリーアン・プランケット、ジョン・マガロ、アンドレ・ベンジャミン、ジェームズ・レグロス、ジャド・ハーシュ
☆☆☆3
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