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2026年09月17日17:27

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「白鳥とコウモリ」岸善幸〜光と闇が反転するなかで〜

先日亡くなったベストセラー推理作家、東野圭吾が原作。犯罪の加害者家族の問題にスポットを当てた作品。岸善幸監督は、門脇麦主演の『二重生活』(2015)以来だったかと思ったら、寺山修司のボクシングもの『あゝ、荒野』82017)も監督していた。それ以外にも『前科者』、『正欲』、『サンセット・サンライズ』なども監督しているようだが未見である。

タイトルの『白鳥とコウモリ』とは、光の世界と闇の世界の二つの対照的な世界の生きる者たちのことを指しているが、弁護士のような光の世界に属している者にも闇があり、罪を告白し、犯人だと思われていた者にも、光の満ちた思いがあったということか。前半は特に音楽を抑制し、日常のリアルな音を効果的に使っていた。殺された被害者の娘である今田美桜が、調書に書かれていた父は「私が思っていた父ではない」と疑問に思うところから、物語が動き始める。犯人だと自供した加害者(三浦友和)の息子、松村北斗と初めて喫茶店で会い、彼女が席を立つときの椅子の音が印象に残った。

三浦友和のあっさりした自供から始まり、彼は誰をかばっているのか、その事件の真相を、被害者の娘である今田美桜と加害者の息子である松村北斗が、それぞれの父への違和感から事件を真相を明らかにしていく。刑事の柄本佑が前原滉とコンビを組みながら、事件追及の進行役として登場する。加害者の家族である松村北斗はネットで顔を晒され、週刊誌に追いかけられ、仕事もできなくなり、携帯電話の番号もバレてイタズラ電話までかかってくる。まさに加害者家族は、晒し者であり、攻撃してもいい対象になるネット社会の現代。

今田美桜の父・中村芝翫の過去、罪を自供した三浦友和の過去が明らかになるにつれ、真相に近づいていく。ミステリー小説の常道の展開だ。そして被害者家族から加害者家族へと反転していくなかで、今田美桜は大きなショックを受け、家にはメディアが詰めかける。そして二人の関係も変わっていく。うまくまとめられたミステリーであり、最後のタネ明かしも映像でしっかり見せているのでわかりやすい。最後、二人の恋愛もので終わらせているのが、エンタメ・ミステリーという感じがする。モノレールが上を通る高架下で松村北斗が引き返す煽りショットは印象に残った。演出はしっかりしていたし、役者たちの演技も抑えていて良かった。

因みに、江本佑が映画館で観ていた映画は、小津安二郎の『麦秋』の杉村春子が「アンパン食べない?」と原節子に言う名場面であった。


2026年製作/145分/G/日本
配給:松竹

監督:岸善幸
原作:東野圭吾
脚本:向井康介
エグゼクティブプロデューサー:吉田繁暁、江成真二、飯沼伸之
企画:新垣弘隆、櫛山慶
プロデュース:新垣弘隆、櫛山慶
プロデューサー:西麻美、富田朋子
撮影:羅偉恩
照明:秋山恵二郎、鈴木涼太
録音:豊田真一
美術:露木恵美子
装飾:松尾文子、徐賢先
衣装:小林身和子
編集:二宮心太
音楽:網守将平
主題歌:大森元貴
音楽プロデューサー:高石真美
キャスト:松村北斗、今田美桜、柄本佑、三浦友和、中村芝翫、井川遥、吉田羊、風吹ジュン、前原滉、井之脇海、宇野祥平、松岡依都美、松尾諭、丸山智己、三浦誠己、斉藤陽一郎、原田琥之佑、のせりん、漆山拓実、五頭岳夫
☆☆☆3
写真引用コピーライト2026「白鳥とコウモリ」製作委員会
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