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2026年06月02日20:56

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「緋牡丹博徒 お竜参上」加藤泰〜階段の上下に引き裂かれる男女〜

一世を風靡した藤純子の「緋牡丹博徒」任侠シリーズの第6弾。本作は第3弾『花札勝負』の後日談に当たり、脚本は加藤泰と鈴木則文コンビ。数年前に関わった女賭博師・お時の盲目の娘・お君を探してお竜は浅草にやってきていた。目の手術をした少女のお君だったが、その後、お竜はそばにいてやれず、行方知れずになっていた。映画の出来としては、『花札勝負』のガード下の様式美の美しさには叶わないが、雪降る中で藤純子が傘を差して、橋の上での菅原文太との別れのシーンがある。橋を別れのシーンで使うのはお馴染みだ。雪と傘も藤純子にはよく似合う。『花札勝負』の高倉健が本作では菅原文太に成り代わっている。高倉健が故郷の母の墓ことを大切に思っていると語ったように、この映画でも菅原文太は、故郷の両親の墓に探していた妹の骨を一緒に入れてやると話をする。そして階段の下からのローアングル、その上下関係を使った恋人同士の悲劇が描かれる。

鉄砲久一家に草鞋をぬいだお竜。鉄砲久(嵐寛寿郎)は娘婿の鈴村(高野真二)が、六区に小屋をもっている関係で、一座の利権をにぎっていた。だが、同じ浅草界わいを縄張りとする鮫洲政一家(安部徹)は一座の興行権を奪おうと企んでいた。安部徹が徹底した悪役を演じている。お竜が捜していたお君(山岸映子)は、スリをする女になっていた。彼女に思いを寄せる銀次郎(長谷川明男)は鮫洲政一家の手下だったが、お君は鉄砲久の養女になった。敵対する一家にいる恋人たち二人を、ヤクザの世界から引き離そうとするお竜だったが、銀治郎は抗争の中で殺されてしまう。刺されて階段から転げ落ちる銀次郎。階段の上から手を差し伸べるお君。しかし二人の手は触れ合うことは出来なかった。二つの組が手打ちをしようとする中で、争いが勃発。そこへ都合よく、お竜を慕うヤクザ者の若山富三郎が飛び入り参加して助太刀するのは、『花札勝負』と同じ。最後は、お竜と鮫州政のサシの勝負だったはずが、約束を破り組の手下を引き連れて現われた鮫洲政。お竜の助っ人に菅原文太が登場して、二人だけで戦う。そして悪党の鮫州政は塔から落ちて死ぬ。浅草タワーの塔が何度も描かれ、落下のモチーフが再三使われている。菅原文太が争いの始末を付けると言って立ち去り、追いすがる藤純子のブレたストップモーションで映画は終わる。

目のクローズアップや、鏡を使ったショット、いろんな角度から撮った菅原文太のアップを短く重ねたり、橋の上で雪の上に転がる蜜柑など、加藤泰のお約束の凝った映像演出は相変わらず冴え渡る。


1970年製作/99分/日本
配給:東映

監督:加藤泰
脚本:加藤泰、鈴木則文
企画:俊藤浩滋、日下部五朗
撮影:赤塚滋
美術:井川徳道
音楽:斎藤一郎
録音:渡部芳丈
照明:和多田弘
編集:宮本信太郎
キャスト:藤純子、嵐寛寿郎、菅原文太、安部徹、若山富三郎、汐路章、近藤洋介、沢淑子、長谷川明男、山岸映子、名和宏、平沢彰、川並功、八尋洋、高野真二、井関悦栄、林彰太郎、木谷邦臣、山城新伍、京唄子、鳳啓助、江上正伍、沼田曜一、天津敏、村居京之輔、波多野博、岡島艶子、浅松美紀子、丸平峰子、疋田泰盛、夏珠美
写真引用コピーライト東映
☆☆☆3
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