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2026年04月18日19:26

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「ザ・ライダー」クロエ・ジャオ〜馬とカウボーイの関係のリアリティが映像の力に〜

寡黙な映画だ。広い空、広い大地。画面のほとんどを占める空がとにかく圧倒的だ。そして馬の目のアップ。動かない右手。カウボーイは馬に乗る。しかし、大怪我をして馬に乗れなくなったカウボーイはどうすればいいのか。その憔悴と苦悩。馬は怪我をしたら、使い物にならなくて安楽死させる。しかし、人間は怪我をしても生き続けなければならない。

アメリカ中西部のサウスダコタ州の荒野で撮影された馬とカウボーイの物語。ブレイディという青年を演じるブレイディ・ジャンドローが、本当に馬を調教し、暴れ馬を手なづけて乗っているリアリティがこの映画の強さだ。ロデオ競技中の落馬によって頭部に重傷を負ったブレイディ・ジャンドローの実話に触発され、モデルとなった人物が主演を務め映画化した。そのことが映像に力を与えている。ロケ地に住んでいた非俳優の人物たちがほとんど映画に起用されている。まさにドキュメンタリー的な映像の力だ。

『ハムネット』(2025)を撮ったクロエ・ジャオの長編第2作。『兄が教えてくれた歌』(2015)が長編デビュー作で、『ノマドランド』(2020)ではアカデミー賞作品賞と監督賞を受賞してすっかり有名になった中国出身の映画監督。

頭を怪我しているブレイディ(ブレイディ・ジャンドロー)が、走る馬の躍動感を感じる夢から覚めた夜の場面から始まる。陰鬱な感じで始まり、いつも歌を歌っている妹のリリー(リリー・ジャンドロー)は少し障害があるのだろう。15歳で父親はブラジャーを付けろと買ってくるが、頑なに拒否している。ブレイディは、そんな妹のリリーを可愛がり、自分が守ると言う。父のティム(ティム・ジャンドロー)は妻を失い自堕落な生活を送り、経済的にも苦労している。ロデオで稼げないブレイディは、スーパーでアルバイトを始める真面目な青年。ロデオの先輩スターのレイン(レイン・スコット)は同じように怪我をして病院に入院してリハビリ中。車椅子生活で体は麻痺して自由に動かせない。そんなレインを見舞いに行くブレイディもなんだかツラい。レインもまた怪我で絶望するブレイディを「夢を諦めるな」と手で単語を表わして励ますのだ。馬を乗っていた夢が忘れられない二人のせつなく胸が熱くなるやり取りだ。

大きなドラマは起きないが、何よりも馬に声をかけ、馬と関係を作っていく馬とブレイディのやり取りが素晴らしい。もう一度ロデオに挑戦しようと足掻くブレイディだったが、父と妹が見守る姿を見て、静かに現実を受け入れていく。全ての役柄をそれぞれ本人が演じていることが、この映画に力を与えている。


2017年製作/104分/アメリカ
原題または英題:The Rider

監督・脚本:クロエ・ジャオ
製作:クロエ・ジャオ、ベルト・ハーメリンク
製作総指揮:マイケル・サゴル
撮影:ジョシュア・ジェームズ・リチャーズ
編集:アレックス・オフリン
音楽:ネイサン・ハルパーン
キャスト:ブレイディ・ジャンドロー、ティム・ジャンドロー、リリー・ジャンドロー、レイン・スコット、キャット・クリフォード
写真引用コピーライト 2016 In Search of Fellini, LLC. All Rights Reserved.
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