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2026年03月03日17:52

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「シャーク」サミュエル・フラー〜海に沈むお宝と欲望〜

『最前線物語』(1980)のサミュエル・フラー監督の海洋アクション劇。アメリカB級映画を多く作った監督だが、ヨーロッパなどで高く評価され、再評価された。ゴダールの『気狂いピエロ』(1965)やヴィム・ヴェンダースの『ことの次第』(1981)、アキ・カウリスマキの『ラヴィ・ド・ボエーム』(1992)にもゲスト出演している。多くの映画監督に影響を与えた監督だが、残念ながらあまり見る機会がない。本作がU-NEXTにあったので観賞。

バート・レイノルズが主演。ポール・トーマス・アンダーソンの『ブギーナイツ』(1997)でポルノ映画監督をやっていたのが強く印象に残っている。ロバート・アルドリッチの『ロンゲストヤード』(1974)など男臭い役が似合う俳優だ。『シャーク』というタイトルで『ジョーズ』の5年前に製作されたものだが、サメを中心に展開する海洋サスペンスではない。お宝を積んだ沈没船の海に必ずサメが現われ、人間を襲う設定なのだ。冒頭から海に沈む船を見つけるダイバーがサメに襲われるシーンから始まる。撮影中にスタントマンがサメに襲われて亡くなる事故があったそうだ。ダイバーとサメがもつれ合う迫力ある格闘シーンがある。「サメを怖れることなく撮影に参加した勇敢なスタントマンにこの映画を捧ぐ」という献辞が入る。

最初にサメに襲われたダイバーは紅海で魚の研究をしている海洋学者のマラーラ教授(バリー・サリヴァン)の助手だった。教授と行動をともにしているのがアンナ(シルヴィア・ピナル)という謎の女性。シルヴィア・ビナルは、ルイス・ブニュエルの『ビリディアナ』(1961)や『皆殺しの天使』(1962)にも出ているメキシコ女優。新しい助手を見つけようとバート・レイノルズ演じるケインにアンナが接触してきたのだった。ケインは、スーダン内戦に乗じて武器を売り込みにやってきた武器商人だが、失敗して無一文で町にやって来た。魚の研究と見せかけて、沈没船からお宝を引き上げようとする欲望にまみれた人間たちの駆け引きと争いのサスペンスだ。

ケインは地元の少年を手なずけ可愛がりながら、一人海に潜りマラーラ教授とアンナの本当の目的を知る。マラーラ教授は宝を横取りされることを怖れ、ケインを襲わせ、助手を辞めさせようとするが、ケインと一緒にいた少年に怪我を負わせてしまう。アル中の医者(アーサー・ケネディ)に酒を飲ませながら手術させ、なんとか少年は助かる。そして二人は手を組み、マラーラ教授とケインは一緒に海に潜り、沈没船から金塊を運び出すことに成功するのだが、アンナの裏切りもありサメが誘き寄せられ、マラーラ教授はサメに食い殺されてしまう。なんとか船に戻ったケインだったが、船には事情を察知した地元警官がいて、金塊を横取りされそうになる。それでもケインがその警官を海に落としサメの餌食とし金塊を守るが、最後はアンナの裏切りがあり、ケインは船を降ろされ金塊を奪われる。しかし、その船が沈むように仕掛けられたのをアンナは知らずに去って行く。つまり、引き上げた金塊も奪ったと思ったアンナも海の底へと沈むだろうというエンディング。ケインはまた無一文に戻って終わり。

設定はスーダンだが、撮影はメキシコで行なわれたそうだ。砂埃が舞う乾いた土地と海の底が舞台。バート・レイノルズにタバコに火を付けてくわえさせ、味方のフリをして裏切るシルヴィア・ピナルの悪女ぶり、酔いどれ医者や太ったホテルのオーナーなどのそれぞれのキャラクターが楽しい。人間たちの欲望が次々とサメに襲われ、海に沈んでいくラストがいい。


1970年製作/93分/アメリカ・メキシコ合作
原題または英題:Shark

監督:サミュエル・フラー
製作:スキップ・ステロフ、マーク・クーパー
原作:ビクター・カニング
脚本:サミュエル・フラー、ジョン・キングスブリッジ
撮影:ラウル・マルティネス・ソラレス
音楽:ラファエル・モロヨークィ
キャスト:バート・レイノルズ、シルビア・ピナル、バリー・サリヴァン、アーサー・ケネディ
☆☆☆3
写真引用コピーライト1969 Heritage Enterprises. All rights reserved.
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