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2026年02月26日19:01

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「炎のごとく」加藤泰〜幕末の京都で女に賭けた男の熱情〜

時代劇の巨匠・加藤泰の晩年の1981年、最後の劇映画作品。飯干晃一の『会津の小鉄』が原作。侠客・会津の小鉄こと仙吉の真っ直ぐな熱情と瞽女のおりんとの純愛、その激しい生きざまを、尊王攘夷派の藩士たちと新撰組の浪士たちが暴れ回る幕末・激動の京都を舞台に、天誅横行、池田屋事件、蛤御門の変などを背景に描いている147分の二部構成の大作。

会津の小鉄こと仙吉を演じた菅原文太が直情的な侠客を熱演していて印象深い。顔のクローズアップを多用した迫力ある映像は、ローアングルとともに加藤泰の円熟の職人技を感じさせてくれる。

仙吉(菅原文太)は、呉服屋の跡取り息子だったが、人殺しの罪で大坂所払いとなり、博徒として諸国を渡り歩いていた。雪国で喧嘩して傷を負ったときに、瞽女のおりん(倍賞美津子)に手当てしてもらい、おりんとともに生きるようになる。道中で浪人もの3人組に二人は襲われ、その浪人を仙吉が斬り、「こうなったらわいもお前に賭けまっせ。お前ちゅう者一人、幸せにしてみせるに賭けて。京都じゃ」と二人で京都へ向かう。その時に浪人が持っていた土鈴をおりんが持ち続け、彼女が死んだあとも形見として仙吉は持ち続ける。仙吉はヤクザの大垣屋清八(若山富三郎)を訪ね、子分の盃を交わすように言われるが、おりんを幸せにするために堅気になることを決めた仙吉、親分への義理よりも、「手前の一番はおりん」だと言って盃を拒否する。その心意気に打たれた清八の女房お栄(中村玉緒)の計らいで、賭場で弁当売りをする仙吉だったが、ある日、女をいたぶる男に我慢ならなくなり、その男を包丁で刺し殺してしまう。さらに誰のシマでもない鴨川の河原で賭場を開いて大儲けするも、名張屋の子分に襲われ、おりんは仙吉を庇って死んでしまうのだった。

自らの欲のために、おりんを幸せにできなかった後悔を抱え、仙吉は大阪の呉服屋の実家に戻るが、親からお富(きたむらあきこ)を嫁にしろと言われ、京都に逃げ帰り、大垣組の親分の下で侠客として働き始める。大阪の友人の山崎(岡八郎)とその知り合いの若者の佐々木愛次郎(国広富之)は新撰組に入るが、おりんと仲が良かった八百屋の娘あぐり(豊田充里)と恋仲になり夫婦になりたいという。仙吉は新撰組に入っていたら、あぐりちゃんを幸せにできないと、近藤勇(佐藤允)にも直談判して、佐々木愛次郎を辞めさせてくれと頼むが聞き入れてもらえない。すると新撰組の局長の芹沢鴨(川合伸旺)にあぐりちゃんが見初められ、妾にしたいと言い出す。佐々木愛次郎は新撰組を抜け、あぐりと一緒に逃げるのだが、芹沢鴨の一派に襲われて斬られてしまう。おりんに続いて、あぐりちゃんも守ってやれなかった仙吉。清純なままに死んだ佐々木とあぐりを見て、「美しい二人だ」と言う近藤勇に対して、仙吉に惚れて京都にやって来たお富は、「何が美しいんです。女が一番美しいのは、好きなお方と添い遂げて、そのお方のややこ産んで・・・・育てて・・・」と反論する。

かつての新撰組の人斬り以蔵こと岡田以蔵が盗みで引き立てられ、その情婦が以前に仙吉とおりんを襲って死んだ男の娘だった。仙吉が持っている土鈴を見て、親の敵と斬りかかる。そして池田屋事件が起き、新撰組が長州藩・土佐藩などの尊王攘夷派志士を斬り殺した。そのなかに男装の志士・和多田なかがが2階から落ちて死ぬ。それは岡本以蔵の情婦の女だ。仙吉は、その女を抱きかかえて、女たちを守れなかった無念さを嘆く。そして「蛤御門の変」が起き、長州藩の反乱で京都は炎の包まれる。焼け野原になった京都で、仙吉はおりんの幻を見るのだった。

幕末の京都は激しい男たちの思いが交錯し、数々の映画の舞台となってきた。仙吉という男は、女を悲しませる卑怯で下劣な男を許せない直情的で真っ直ぐな渡世人だ。大義や男の仁義や戦いよりも、自分が愛した女を幸せにすることを第一に考える男。しかし、時代はそんな男の思いを許さない。多くの登場人物を活写しながら、男の熱い思いが伝わってくる映画だ。


1981年製作/147分/日本
原題または英題:Flames of Blood
配給:東宝

監督・脚本:加藤泰
応援監督:倉田準二
原作:飯干晃一
製作:松本常保。大志万恭子
撮影:丸山恵司
美術:梅田千代夫
音楽:鏑木創
録音:渡部芳丈
照明:中山治雄
編集:河合勝巳
キャスト:菅原文太、倍賞美津子、若山富三郎、中村玉緒、藤山寛美、きたむらあきこ、国広富之、豊田充里、桜町弘子、佐藤允、伊吹吾郎、琢磨一生、岡八郎、川合伸旺、平井昌一、水上保広、丹波哲郎、小倉一郎、東龍明、倉丘伸太朗、清川新吾、出水憲司、汐路章、菅井きん、川津祐介、藤田まこと、大友柳太朗、遠藤太津朗、高田浩吉
写真引用コピーライト1981 東宝
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