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2026年02月09日15:35

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「ソイレント・グリーン」リチャード・フライシャー〜超格差社会のゴミのように扱われる人間たち〜

選挙が終わって、世の中どうなっちゃうの?と暗澹たる気持ちでいたので、そんな暗澹たる近未来を描いたSF映画を見た。こんなことが未来に起きないとも限らない。決して絵空事ではないような気がする。膨大な富を蓄積する一部の富裕層と大多数の貧困層。家も買えず、医療も受けられず、仕事を失って食事も満足に得られない。格差の拡大に歯止めはかからない現代・・・。戦争も核爆発も環境破壊も現実的になりつつある。アメリカのSF作家ハリイ・ハリスンの小説「人間がいっぱい」を名匠リチャード・フライシャー監督が映画化。人口爆発・異常気象・食糧難・資源枯渇・生態系崩壊・貧困などさまざまな社会問題を背景に描いた1973年製作の近未来SF映画。

(ネタバレあり)

そして設定はすでに過ぎている2022年、ニューヨーク。近未来的なSF映像はない。どちらかというと戦後の闇市のような貧困の悲惨な現実が強調されている。爆発的な人口増加のせいで人々は住む場所を失い食糧難も常態化、さらに急激な気候変動によって街は熱波にさらされていた。超格差社会となった世界では、多くの人々が政府から週に一度配給される栄養食品「ソイレント」を待つだけの無為な日々を過ごしている。野菜も果物も肉も滅多に食べられない高級品となり、庶民には夢のまた夢。街にはホームレスと失業者が溢れ、夜はアパートの階段も寝ている人だらけ。その人々を踏み越えて、部屋から出ていく殺人課のソーン刑事(チャールトン・ヘストン)。ソーンは、「本BOOK」と呼ばれる元教授の老人・ソル(エドワード・G・ロビンソン)と同居していた。ソルは、昔は肉もバターも買えて食べ物が豊富にあり、「世界は美しかった」と語る。電灯の明かりも室内の自転車を漕いでエネルギーを起こすのも涙ぐましい。紙も本も手に入らず、知識も蓄積されない。貧困層は教育も受けられず、字も読めない。そして路上で次々と死んでいく。ソーン刑事は、ソルが調べる知識を頼りに捜査をしていた。テレビではニューヨーク知事が、新しい奇跡の高栄養食品、海中プランクトンでつくった「ソイレント・グリーン」を発表していた。

ある日、高級住宅街で優雅に暮らすソイレント社幹部サイモンソンが何者かに殺害される事件が起きる。捜査に乗り出すソーン刑事だが、次第に妨害が入る。単なる暴行事件として早期決着を図る警察上層部。知事からの圧力がかかっていた。富裕層の家には美しい女性たちが「家具(furniture)」と称され、高級娼婦のように扱われていた。女性は意志のないインテリアなのだ。殺された富裕者のサイモンソンにもシャール(リー・テイラー=ヤング)という女性がいて、ソーン刑事も次第にシャールと仲良くなり、関係を持つようになる。

「ソイレント・グリーン」が品不足で配給中止になると、市民の暴動が起きる。それを鎮圧に来たソーン刑事が何者かに銃で狙われる。ソーンのまわりにいた市民たちが次々と誤射されて死んでいく。配給中止に抗議する圧倒的な人々の数。人々は重機でゴミのように扱われ排除されていく。そして自室に戻ったソーンは、ソルがホームへ行ったことを知る。ホームとは老人施設なのかと思ったら、安楽死させる場所だった。ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」を聴き、美しいかつての地球の映像を見ながら死んでいくソル。花々や動物たち、自然の景色。ソルはサイモンソン殺害に関する恐ろしい真相を知ってしまったのだ。サイモンソンは呪われたソイレント社の事業に嫌気がさし、神父に懺悔し、その秘密が公になることを怖れたソイレント社や知事たちに殺されたのだ。その証拠を掴んでくれと最後にソルに言われたソーン刑事は、ホームの数々の遺体を運び出すトラックに潜り込み、死体が集められる工場へと潜入する。そこで恐ろしい真実を知ってしまう。「ソイレント・グリーン」の原料は、海中プランクトンでもなく死んだ人間だったのだ。トラックから運び出される白い布にくるまれた死体の数。ベルトコンベアーで運ばれ、貯水槽に投げ込まれる死体。白い布でくるまれているとは言え、不気味な映像だ。生きている人間もゴミのように扱われ、死体もまたゴミ処理場のような工場に運ばれ、加工されて食料にされているのだ。最後に銃で撃たれたソーン刑事は、「人肉が食糧になれば、次は食用人間の飼育だ。必ず伝えてくれ」と叫びながら死んでいく。「分かった。必ず伝える」という上司の虚しい言葉が響く。


1973年製作/97分/G/アメリカ
原題または英題:Soylent Green
配給:コピアポア・フィルム

監督:リチャード・フライシャー
製作:ウォルター・セルツァー、ラッセル・サッチャー
原作:ハリー・ハリソン
脚本:スタンリー・R・グリーンバーグ
撮影:リチャード・H・クライン
編集:サミュエル・E・ビートリー
音楽:フレッド・マイロー
キャスト:チャールトン・ヘストン、リー・テイラー=ヤング、チャック・コナーズ、ジョセフ・コットン、ブロック・ピータース、ポーラ・ケリー、
エドワード・G・ロビンソン
☆☆☆☆4
写真引用(C)2024 WBEI.

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