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2026年01月03日13:58

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「恋人たちの時刻」澤井信一郎〜北海道ロケがふんだんに登場〜

札幌周辺ロケ撮影が多く使われていると聞いていたので、いつか見ようと思っていた作品。原作は札幌で病院も開業していた精神科の医者・寺久保友哉の同名小説。脚本は荒井晴彦。撮影は仙元誠三、音楽が久石譲、大貫妙子がエンディングの主題歌を歌っているのがいい感じ。監督は薬師丸ひろ子の『Wの悲劇』(1984)、松田聖子の『野菊の墓』(1981)などアイドル映画を多く撮り、その手堅い仕事ぶりは評価も高い澤井信一郎。

代々木ゼミナール札幌校をはじめ、大通公園、地下鉄、円山公園駅、北海道庁赤れんが庁舎、札幌駅(古い駅舎)、北大、すすきの鴨々川周辺、銭函海岸、小樽水族館、小樽運河や色内周辺の古い町並み、海猫屋、千歳空港、根室標津周辺など、私にはお馴染みの風景がふんだんに登場している。澤井信一郎はいつものように手堅く演出しているのだが、残念ながら役者の魅力が物足りない。河合美智子は相米慎二の『ションベンライダー』(1983)の頃はまだ男の子みたいな感じだったが、本作では最初から惜しげもなくヌードを披露。セックスシーンも含めて頑張っているのだが、性的魅力や妖しさが感じられず役不足か。かつての秋吉久美子か、風吹ジュンあたりだったらなぁ。彼氏役の野村宏伸もうまくない。透明感のある北海道ロケの寒々した感じは出ているのだが、映画としての魅力はあまり感じられなかった。

河合美智子演じる黒いワンピースにサングラスという謎めいた女が浜辺で男たちにレイプされそうになるのを、主演の野村宏伸に助けられるシーンで始まるのだが、なぜかいつまでも浜辺で下着一枚のままでいる。なぜ早く服を着ないのか疑問になるほど不自然なのだが、どうやら彫刻のモデルの仕事をでやっているため、ヌードには慣れている設定なのだろう。田舎の標津から出てきて、小樽の理容美容学校に通いながら奔放な性生活を送っていた設定もあり、ちょっと変わった女の子という感じ。そして中年の彫刻家(高橋悦史)の家で住み込みでヌードモデルをしている。高橋悦史には入院している病気の妻(大谷直子)がいて、愛人(眞野あずさ)もいる。奇妙な生活を送りながら、真面目な予備校生の野村宏伸と付き合い出す。しかし野村宏伸には簡単には身体を許さず、一緒に田舎から出てきた友人の山崎典子という女性を探してと頼む。野村宏伸がその山崎典子という女を小樽で探しているうちに、出会った村上マリ子と名乗る女(河合美智子)の忘れてしまいたい過去の秘密が明らかになる・・・という物語。ミステリー仕立てながら、どうと言うことはないストーリーで、なんとなく展開は読めてしまう。新たな人生を生きたいと願う河合美智子だったが、過去からなかなか逃れられないし、変われない自分もいる。高橋悦史に惹かれる自分と野村宏伸と新たに生きたいという自分に引き裂かれながら、ある決断を下す。

この時代はこういう性にまつわる恋愛モノが多かったような気がする。今ではあまり成立しないのは、若い男性の性に対する執着心が薄れたせいなのか。ただ今も昔も、謎の女には男は惹かれていくものだ。


1987年製作/99分/日本
配給:東宝

監督:澤井信一郎
脚本:荒井晴彦
原作:寺久保友哉
製作:角川春樹
プロデューサー:黒澤満、伊藤亮爾、小島吉弘
撮影:仙元誠三
美術:桑名忠之
音楽:久石譲
主題歌:大貫妙子
照明:渡辺三雄
編集:西東清明
キャスト:野村宏伸、河合美智子、眞野あずさ、大谷直子、石田純一、宮下順子、加賀まりこ、高橋悦史
☆☆☆3
写真引用コピーライトKADOKAWA 1987
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