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2025年12月27日23:36

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2025年ドラマの年間ベスト10〜家族の多様化と居場所づくり〜

2025年のドラマを振り返って、まずは連ドラベスト10

1,『ひらやすみ』(原作:真造圭伍 脚本:米内山陽子 演出:松本佳奈・川和田恵真・高土浩二 音楽:富貴晴美)NHK
2,『ぼくたちん家』(脚本:松本優紀)日テレ
3,『あんぱん』(脚本:中園ミホ)NHK
4,『ホットスポット』 (脚本:バカリズム)日テレ
5,『団地のふたり』(原作:藤野千夜 脚本:吉田紀子)
6,『TRUE COLORS』(脚本・監督:源孝志)NHK-BS
7,『照子と瑠衣』(原作:井上荒野 脚本・演出:大久明子)NHK-BS
8,『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(脚本:森下佳子、三谷昌登)NHK
9,『僕達はまだその星の校則を知らない』(脚本:大森美香)フジテレビ
10,『いつか、無重力の宙で』(脚本:武田雄樹)NHK

その他
・『御上先生』(脚本:詩森ろば)TBS
・『東京サラダボウル』NHK(脚本:金沢知樹 原作:黒丸)NHK
・『幸せは食べて寝て待て』(原作・水凪トリ 脚本:桑原亮子、ねじめ彩木)NHK
・『続・続・最後から二番目の恋』(脚本:岡田惠和)フジ
・『ちはやふるーめぐりー』(原作:末次由紀 
   脚本:小坂志宝、本田大介、松本千晶、金子鈴幸)日テレ
・『シナントロープ』(原作・脚本::此元和津也 監督:山岸聖太)テレ東


どうしても年末まで見た秋ドラマが印象に残っていて、NHK夜ドラの『ひらやすみ』はスタッフ・キャスト、時間尺もすべてが完璧だった。こういう質の高いドラマはやはりNHKになってしまう。民放ドラマはいかに視聴者を驚かせるかというストーリー展開に躍起になりすぎて、ドラマの余白や余韻がない。ちゃんと地に足のついた登場人物を造型してほしいものだ。『ひらやすみ』は「食」を通じて集まれる居場所をいかに持てるかという昨今のドラマの傾向を象徴していた。因みに『食』が人との繋がりに意識されるようになったのは、映画『かもめ食堂』(2006)のヒットあたりからだと個人的には思っている。『食』を楽しむ時間と余裕こそ、幸福の原点があるからだ。そして『食』と『居場所』である。

古いアパートが居場所になっていた『ぼくたちん家』、『団地のふたり』や『幸せは食べて寝て待て』はまさに団地が地域コミュニティの居場所になっていた。『続・続・最後から二番目の恋』も鎌倉の中井貴一の家がみんなが集まる居場所であり、『小さい頃は、神様がいて』も何組かが住むマンションが居場所となった。『いつか、無重力の宙で』も『僕達はまだその星の校則を知らない』も高校の天文部の部室が居場所となって物語が展開していったし、少し前の生方美久脚本の『いちばん好きな花』も若者たちの居場所作りの話だった。

かつては家族内がドラマの中心に描かれていた時代があった。テレビドラマ脚本家として名を馳せた向田邦子(『阿修羅のごとく』(1879)『寺内貫太郎一家』(1974))や山田太一(『岸辺のアルバム』(1977))のドラマは、家族の中で父や母に表の顔と裏の顔があり、それぞれの秘密があり、親子や夫婦の葛藤や対立、騙し合いでドラマは成立した。『金曜の妻たちへ』で流行った不倫ドラマもその延長だ。それがいつからか、家族の中だけを描いているだけでは、ドラマは成立しなくなった。家族内の結びつきがバラバラとなり、希薄になったからだ。バラバラな個人の集まりでしかない家族間では、愛も憎しみも生まれない。そして『逃げるが恥だが役に立つ』(2016)では、契約結婚がドラマとなり、愛の形自体が成立しづらくなり形骸化していった。そして今や、『ぼくたちん家』のように偽装親子として契約するパターンや『義母と娘のブルース』の代理母の登場や『フェイクマミー』のように偽装母まで登場し、母親が二人いてもいいじゃないかという時代になった。家族が家族だけで維持できなくなってきたのだ。仕事に子育てに家事。『対岸の家事』もまた家族の限界を描いていた。話題になった『じゃあ、あんたが作ってみろよ』の男と女の役割が古典的な家族像はもはやコメディでしかないのだ。家族だけではなく、血の繋がらない者たちの共同体として集まる「家」、あるいは他人同士が集まる「居場所」こそが必要な時代なのだ。これまでの「家族」という狭い枠組みで「家」を考える必要がなくなってきたと言うことだ。さらにジェンダーバイアスは笑いと圧力の対象となり、多様な性のあり様がドラマで必ず描かれるようになってきた。ドラマは必ず時代の空気、世相を浮かび上がらせる。家族の描かれ方が多様化し、居心地のいい居場所づくり、ほっとできて、夢を自由に語れる居場所こそが、ドラマの主要な舞台となってきた。

あと、江戸時代の町人を主人公に据えた異色の大河ドラマとなった『べらぼう』だが、前半は政治の世界と吉原の世界の二つの世界を行ったり来たりの展開が苦しかったが、平賀源内の死、そして戯作者・恋川春町(岡山天音)の死に様など、どんどん面白くなっていった。最後は「俺たちは<屁>だ!」とみんなで踊り狂って蔦屋重三郎(横浜流星)の死を描いた終わり方は見事だった。ナンセンスな笑いや文化こそが社会には欠かせないことを、しっかりと描いて見せてくれた。森下佳子の素晴らしい仕事ぶりだった。また、朝ドラの『あんぱん』もキャストが良かったし、誰もが戦争に加担してしまう時代を描ききったことで「正義は簡単に逆転する」やなせたかしの思いに迫ったドラマだった。

最後に今年の単発ドラマで印象に残ったものをいくつか挙げておきたい。

・『スロウトレイン』(脚本:野木亜紀子)TBS正月ドラマ
・『俺の話は長い 2025・春』前後編 (脚本:金子茂樹)日テレ
・『地震のあとで』(原作:村上春樹 脚本:大江崇允 演出:井上剛)NHK
・戦後80年ドラマ「八月の声を運ぶ男」(脚本:池端俊策 演出:柴田岳志)NHK
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