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2025年12月26日18:27

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『ヤンヤン 夏の想い出』�◆船┘疋錙璽鼻Ε筌鵑侶羣遏訴垢�こと、そして見ること〜

大好きなエドワード・ヤンの2本の傑作『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』と『ヤンヤン 夏の想い出』。何度観ても新たな発見がある奥深さだ。今回、『ヤンヤン 夏の想い出』の4Kレストア版の劇場上映があるというので年末に駆けつけた。劇場でエドワード・ヤンの映画を観られる幸せを噛みしめる。すでにレビューは2年ぐらい前に一度書いたもの(『ヤンヤン 夏の想い出』https://hideyosi719.blog.fc2.com/blog-entry-1755.html)があるのだが、観る度に書きたいことが溢れてくるので、レビュー�△箸靴謄▲奪廚垢襦�

人生をやり直そうと模索する父と、恋に恋し、夢から現実へと踏み出そうとしている姉と、まだ何も言葉を持たず、注意深く見ることから始めようとする弟。結婚式から始まり、葬式で終わる物語のなかで、それぞれの人生の断片が描かれる。

あらためて思ったのは、音が映像の外から聞こえてくる面白さだ。音の先行のさせ方や、音で演出する場面の豊かさ。最初のアディの結婚披露宴に乗り込んできた元恋人の怒りの声は、黒バックのスタッフ字幕の映像に音だけが挿入される。男と女の激しい感情のやり取りは、このようにオフで声だけ聞かせるか、必ずヒキの映像で顔のアップなど入れはしない。直接的に描かないのだ。隣の部屋の夫婦喧嘩の怒りの声もただ聞こえてくるだけ。NJが元恋人シェリーと日本でやり直すかのような時間を過ごし、最後に別れた後、ホテルの隣の部屋から聞こえる泣き声は、その姿を直接は映さずに声のみなのだ。NJにさえ届かない悲痛な泣き声。最後に死の間際で祖母の部屋から聞こえてくる歌声のハミング。ティンティン(ケリー・リー)にはその歌声が夢の中で聞こえた。ヤンヤンは祖母からいつも「人の話を聞きなさい」と言われていた。注意深く、聞くこと。まわりの音や声に耳を澄ますこと。そのことの大切さをこの映画では伝えている。

それと同時に見ること。注意深く世界やまわりを見ることの大切さが描かれる。ヤンヤンが、人が見ることの出来ない背中や後頭部をカメラで撮り続けたように、ラストの祖母への手紙の中でヤンヤンが書いていたように、「見たことがないものを見せるようになりたい」とエドワード・ヤンは、自らの分身であるヤンヤン少年に宣言させていた。誰もがいろんなことを見誤る。NJの会社では、大田と小田を見誤って失敗し、アディは友人を見誤って金を投資して逃げられた。NJ自身も自分のことを一番見誤っているのかもしれない。ガラスの向こう側に映る影や街の光、夜の列車の窓ガラスに映るNJとシェリーの姿。もう一つのあり得たかもしれない人生。自分たちの姿は幻影でしかないのかもしれない。クッキリと像を結ばないガラス越しに映るあやふやな存在。一面ガラス張りのバーで、恋人のファティを待つ隣の女の子リーリー。リーリーもまた見誤って恋人ファティと別れたり、ヨリを戻したりと揺れ続けて事件に巻き込まれてしまう。姉のティンティンは、ベランダから見えたリーリーとファティの恋人たちの姿に見とれているうちに、ベランダのゴミを出し忘れてしまう。それが祖母の転倒と繋がり、悔やみ続ける。自分の目で見てもいないのに、コンドームでイタズラをしていたと学校の先生はヤンヤンを疑った。そんななかで、ヤンヤンは暗い部屋の中で、移りゆく雲と稲妻が光る映像とともにシルエットの一人の少女を見つめ続けた。プールで泳ぐ少女を見つめ、その姿を水の中に追い続けた。

注意深く、音を聞くこと。そして注意深く、自分の目で世界を見続けること。見えないところ、後ろ側まで見ようとすること。それでも人は人生を見誤る。幻影のような姿に惑わされ、自らのことを見失ってしまう。ガラスの反射の二重性は、そんなあり得たかもしれないもう一つの人生であり、曖昧な幻影なのかもしれない。NJが夜のオフィスで昔の恋人シェリーに留守番電話で声を吹き込む場面、ティンティンとファティの高架下の横断歩道での夜のキス。信号の光と車のライトが美しいロングショット。布団が手前にあるホテルの部屋でのNJとシェリーの切ない会話、夜の海岸の堤防に佇むNJ。どのショットも肝心の場面はロングショットであり、そこにエドワード・ヤンの確かな人を見つめ描く大切な視点がある。ティンティンが最後に祖母と出会えたのは、あの祖母のハミングの歌声を聞き逃さなかったからなのだ。聞くことと、見ることの大切さ、それは映画そのものであり、これはそんな映画の魅力が隅々まで詰まっている映画なのだ。


2000年製作/173分/G/台湾・日本合作
原題または英題:Yi yi (A One and a Two)
配給:ポニーキャニオン

監督・脚本:エドワード・ヤン
製作:河井真也、附田斉子
撮影:ヤン・ウェイハン
美術:ペン・カイリー
編集:チェン・ポーウェン
音楽:ペン・カイリー
キャスト:ウー・ニェンツェン、エイレン・チン、イッセー尾形、ジョナサン・チャン、ケリー・リー
写真引用(C)1+2 Seisaku Iinkai
☆☆☆☆☆☆6


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