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2025年12月22日16:20

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「青春群像」フェデリコ・フェリーニ〜フェリーニの原点・お祭りとその後の空虚感〜

フェデリコ・フェリーニが自身の故郷リミニを思わせる地方都市を舞台に描いた自伝的要素が強い作品だと言われている長編3作目。音楽はいつものニーノ・ロータ。ニーノ・ロータの音楽が流れると、フェリーニの映画世界が立ち上がってくる。それくらいフェリーニ映画にとって欠かせないのがニーノ・ロータの音楽である。第14回ベネチア国際映画祭でサン・マルコ銀獅子賞を受賞。フェリーニらしい初期の傑作だと思う。

最初は嵐のような雨と風から始まる。ミス・シレーナ(美女コンテスト)選出のお祭りシーンだ。そのお祭りに遊びに来ている自堕落な日々を過ごす仲間たち。アルベルト(アルベルト・ソルディ)、劇作家志望のレオポルド(レオポルド・トリエステ)、仲間内で一番若いモラルド(フランコ・インテルレンギ)、歌が好きなリカルド(リカルド・フェリーニ/フェリーニの弟)、仲間の親分格のファウスト(フランコ・ファブリッツィ)。そのファウストが女を口説いていると、モラルドの妹サンドラ(レオノーラ・ルフォ)がミス・シレーナに選出される。すると稲妻と暴風雨。屋内でパーティーは続くのだが、サンドラが気を失って倒れてしまう。ファウストの子供を妊娠していたのだ。すぐに町を逃げだそうとするファウスト。最低の女ったらしである。

フェリーニはいつでもお祭り騒ぎを描いてきた。「人生はお祭りだ。一緒に過ごそう!」は『81/2』のラストシーンの有名な台詞だが、まさに「人生の祭り」をフェリーニは描いてきた。それと同じくらい祭りの高揚感の後の孤独や寂寥感、空虚感を描いてきた映画監督である。この映画でも最初からお祭り、暴風雨の嵐、騒動があって、そんな騒動から逃げ出そうとする男が描かれる。結局、ファウストは厳格な父によって、男としての責任をとってサンドラと結婚しろと言われ、盛大な結婚式を挙げて二人はローマへ旅立つ。わりと真面目なモラルドは、眠れぬ夜を過ごし、夜ごと誰もいない町を彷徨う。そして早朝から駅で働く少年と仲良くなったりする。5人の仲間たちが季節外れの海に佇むシーンがある。誰もいない海を目的もなく眺めているだけ。この何者でもない男たちのあてのなさが表現されていていい。殺風景な砂浜をコートを着て歩く5人。すると、犬が現われ、アルベルトの姉が妻のいる男と不倫している場面と遭遇する。家に帰って姉に、「母さんを泣かせるな。男と別れろ」と迫るアルベルトだった。

そのうちローマの新婚旅行から帰ってきたファウストは、姑の友人の骨董屋のような店で働くことになるが、真面目に働く様子はない。妻のサンドラと一緒に映画館に行っても、隣の美人マダムに声をかけて強引にキスしたりする悪い女癖は変わらない。そして町はカーニバル。仮装したり、着飾って町中のお祭り騒ぎがまたしても描かれる。アルベルトは女装し、紙吹雪が舞う中で踊り、男たちはそれぞれ女たちを口説く。そこで、ファウストはまたもサンドラの目を盗んで、店主の妻を誘惑しようとするのだ。それで店主に見つかって仕事をクビになる。腹いせに、屋根裏の女神像をに盗んで売ろうとするが、それも売れない。カーニバルの後で、アルベルトの姉は不倫の男と駆け落ちして、母を悲しませていた。お祭り騒ぎの喧噪とその後のそれぞれの孤独と過ち。

次に描かれるお祭りは、戯曲作家志望のレオポルドの憧れの有名な老俳優がやってきて、みんなで公演を観に行く場面。露出度の高い衣装で女たちが舞台で踊る。レオポルドは自分の戯曲をその老俳優に見せ、すっかり認められて、老俳優に夜の海辺に誘われる。しかし何やら老優の怪しい雰囲気にレオポルドは怖じ気づいてしまう。一方、ファウストは劇団の女優と盛り上がり、口説いて一夜を共にする。外で待っていたモラルドは一緒に家に帰るが、妻のサンドラは夫の浮気に気づき、赤ちゃんを連れて家を出て行ってしまう。浮気癖が止まらなかったファウストだったが、妻子が家出して初めて慌ててあちこち探し回る。4人の仲間たちも一緒に探す。サンドラはファウストの実家にいた。父親にムチで殴られるファウストはやっと改心して妻のサンドラと家に帰っていく。そしてモラルドは一人、駅から列車でどこかへ旅立っていくのだった。友人たちがそれぞれのベッドで眠っている早朝に。ホームでモラルドに気づいた深夜に仲良くなった駅で働く少年。その少年が一人モラルドを見送り、列車のモラルドに手を振るのだった。

タイトルにあるように青春群像劇である。仕事にも就いていない男たちが、あてもなく彷徨う自堕落な日々。女好きのファウストは、のちのマルチェロ・マストロヤンニが演じた『81/2』のグイドであり、『甘い生活』のマルチェロである。レオポルドやモラルドにフェリーニは自分を投影しているのだろう。いずれにせよ男たちのろくでもない浮気癖や遊び好きのお祭り騒ぎと、一方で深夜の町を寂しく彷徨うような孤独な空虚感も同時に抱えていることを、田舎の町の群像劇を通して描いている。フェリーニの原点がここにあるような気がする。


1953年製作/107分/イタリア・フランス合作
原題または英題:I Vitelloni
配給:コピアポア・フィルム

監督:フェデリコ・フェリーニ
原案:フェデリコ・フェリーニ、エンニオ・フライアーノ、トゥリオ・ピネッリ
脚本:フェデリコ・フェリーニ、エンニオ・フライアーノ
撮影:オテッロ・マルテッリ
音楽:ニーノ・ロータ
キャスト:フランコ・インテルレンギ、アルベルト・ソルディ、フランコ・ファブリッツィ、リカルド・フェリーニ、レオポルド・トリエステ、レオノーラ・ルフォ、クロード・ファレル、カルロ・ロマーノ、エンリコ・ビアリシオ、パオラ・ボルドーニ、リダ・バーロバ、アルレット・サウバージ、ビラ・シレンティ、メイジャ・ナイルズ、ジャン・ブロシ
写真引用@RIZZOLI 1953ャール
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