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2025年10月20日12:45

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『新東京行進曲』川島雄三〜小学校の同級生たちの恋と友情の群像劇〜

『雑誌平凡』に連載された入江徳郎、辻本芳雄、戸川幸夫のリレー小説が原作。もともとの『東京行進曲』とは菊池寛の小説を溝口健二が1929年無声映画として日活で映画化。主題歌は作詞西條八十、作曲中山晋平、唄佐藤千夜子でヒットした。映画主題歌として作られた楽曲としては日本で最初の成功例とされ、「日本の映画主題歌(映画とタイアップした曲)の第1号と言われている。その戦後版とも言えるのが本作だが、主題歌(作詞:西條八十、作曲:古賀政男、唄:藤山一郎、奈良光枝)は映画の後半で実際に藤山一郎と奈良光枝がミス職場の表彰式のイベントで歌うシーンがある。

最初に数々の災害をくぐり抜けてきた東京の復興が空撮で撮影され、その東京について当時の都知事が新聞記者にインタビューされている場面から始まる。本物の都知事(安井誠一郎)が賛助出演しているリアリティを川島雄三が演出。そんな東京・銀座のど真ん中にある泰明小学校を「僕は卒業したんだ」と同じ機内に乗っていた記者の高橋貞二が同僚の小林トシ子にいきなり語り出す。これは銀座の泰明小学校の同級生たちの恋と友情の物語なのだ。

「自分の心に嘘をつくな」と教えてくれたかつての恩師であった先生(須賀不二男)が、追いかけていた汚職事件に関連していたことを知る記者の高橋貞二。しかもその恩師の一人娘の淡路恵子に、恩師の娘だと知らずに恋していたという展開。淡路恵子を好きなのは同級生の建築技師の北上弥太郎も同じで三角関係。新聞記者の高橋貞二に思いを寄せている女性記者の小林トシ子もいるが、彼はその好意に気づいていない。さらに高橋貞二の人柄に惚れて娘の婿にと紹介しようとしている警部(日守新一)がいて、その娘・北原三枝の恋人が、また同級生の都電運転手の大坂志郎という入り組んだ複雑な恋の群像劇。さらに同級生の三橋達也は、同じ同級生がバンタム級世界選手権タイトルマッチに挑戦しようとしているのに、彼に会おうとしない。三橋達也は一緒にボクシングをしていて、彼のパンチのおかげで右目を失明していた。そのことを選手権前に彼に知られたくないと、小林トシ子が記事にしようとするのを拒否する。そんな友情も恋も絡んだ群像劇だ。

銀座の町並みの様子や都電、テレビでボクシングのタイトルマッチをみんなで見るシーンや日比谷公会堂でのオペラ歌手、フョードル・シャリアピン来日公演など、当時の東京や風俗が感じられて楽しい。桂小金治の寿司屋姿や、小学校の子供時代に理科の授業中に「東京行進曲」を歌って怒られたエピソード、歌詞にある「あだな年増」ってどんな女性のこと?と聞くシーンなども微笑ましい。

1953年製作/97分/日本
配給:松竹

監督:川島雄三
脚本:柳沢類寿
原作:入江徳郎、辻本芳雄、戸川幸夫
製作:小倉武志
撮影:長岡博之
美術:逆井清一郎
音楽:木下忠司
録音:熊谷宏
照明:小泉喜代司
キャスト:高橋貞二、淡路恵子、小林トシ子、三橋達也、北上弥太朗、大坂志郎、広沼尾釣、桂小金治、須賀不二男、日守新一、北原三枝、坂本武、望月優子、多々良純、松井翠声
☆☆☆3





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