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2025年10月01日17:05

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「銀河」ルイス・ブニュエル〜キリスト教をめぐる時空を超えた旅〜

「無神論者のレッテルを貼られそれを忌み嫌ったブニュエルによる<福音書>。現代からキリストの時代へ、あるいは中世へ、18世紀へ、4世紀へ−−SF映画のように自由闊達に飛びながら、パリ郊外からスペインの聖地サンチャゴに至る<銀河>をゆくふたりの怪しげな巡礼ピエールとジャンの冒険譚を描く。」(映画com.より)

まったく手に負えない。キリスト教の知識がそれほどない私には、この映画の面白さは伝えられない。お手上げである。

パリからサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して巡礼をしている2人の浮浪者ピエール(ポール・フランク―ル)とジャン(ローラン・テルジェフ)の時空を超えたロードムービー。巡礼の途中で、教会の歴史的に異端とされた宗派や人物を巻き込んだ奇妙な事件を目撃し、イエス・キリスト(ベルナール・ヴェルレー)と聖母マリア(エディット・スコブ)や狂信者にも遭遇。奇跡&秘跡を含む出典はすべて聖書や教義書で存在する事実のみを引用しているそうだ。だからブニュエルのキリスト教否定の映画ではない。神の存在、奇跡の正体、さまざまな教義の歴史をパロディのように描いているようだ。巡礼の旅と言いながらも、二人の男たちは信心深い訳ではない。一人は無神論者でさえある。金も食べ物もないただの浮浪者だ。

スペインの聖地、サンティアゴ・デ・コンポステーラ。伝説によれば7世紀、輝く星が使徒・聖ヤコブの墓のある場所を教えたという。それがコンポステーラ”星の源”という名の起源。欧米では「銀河」は、コンポステーラヘの巡礼を意味しているそうだ。

最初は黒マントと帽子の男がやって来る。「サンティアゴ・デ・コンポステーラに着いたら、娼婦を買って子どもを産ませるのだ。長子の名前は『汝、我が民にあらず』、次子は『もはや慈悲なし』とせよ」と言われる。続いてイエスの聖痕のある少年が登場し車を止めて二人は乗るが、「あぁ、神様」と言った途端に車から降ろされてしまう。さらに食堂では、病院から脱走してきた神父がイエスの「聖体=パン」説を語り、「奇跡なんかない」と言う警察官との間で言い争いになる。飲み物を突然かけられる警察官と病院に連れ戻される神父。夜の森の中で行なわれる異端派の怪しげな男女のパーティー、マルキ・ド・サド侯爵(ミシェル・ピコリ)は、「神など存在しない。イカサマの幻想だ」と言い放ち、監禁された少女は「神は存在します」と主張する。レストランでは支配人と従業員が神学論争をしている。ボルドーの「ラマルチーヌ学園」に行くと、子どもたちによる寸劇が始まろうとしていた。異端的な考え方に「呪いあれ」と次々に言い続ける子どもたちの不気味さ。そして中世の異端派を火あぶりにする宗教裁判が描かれ、修道院では十字架に磔られ両手に釘を打ち込まれて悦ぶ尼僧が描かれる。ヤンセン派とイエズス会の二人の男が「キリストは何のためにタヒんだのか」と言い合いながら決闘をする。スペインに入ると、サラマンカ大学で当時の学生たちと出会い金貨を受け取り、ロバを連れて先の宿で待っていてくれと頼まれる。広場では元司教の誤りを断罪し遺体を焼く儀式。二人の学生は「父と子と精霊の三位一体」について「神は一つだ」ヤジを飛ばし、捕まえられそうになって森へ逃げる。そこで聖母マリアに出会う奇蹟を体験。そしていよいよサンティアゴ・デ・コンポステーラに着いたピエールとジャン。そこへ娼婦(デルフィーヌ・セイリグ)が現れ、聖地の「墓の遺体が聖ヤコブではなく、プリシリアヌスという首のない異教徒だった」と言い、町を訪れる巡礼者はいなくなった。だから、森の中でセックスをしようと二人を誘う。そして「子どもを産ませて」と二人に言う。子どもの名前は『汝、我が民にあらず』、もう一人の男との子どもは『もはや慈悲なし』だと言う。彼女はマグダラのマリアらしい。そして使徒を引き連れたイエスらしき人が現れ、森の中で盲人2人に奇蹟を起こし、「私が来たのは地に平和をもたらすためだと思うな。私がもたらすのは平和ではない、剣だ」(マタイ伝10音)と告げる。

見直しながらエピソードをまとめてみたところで、様々なキリスト教的な言葉や議論が繰り返されているだけだ。「人間は無力だ。自由意思などはない。自由など幻想に過ぎん」」「自由ってなんだ?」「善と悪かどちらかを選べるってことさ」「俺が悪を選ぶのはお見通しだ。前から決まっているのに自由って言えるか?」「自由意思と言う。善を選ぶように神が導くんだ」「悪を選ぶと知っているなら、選んだのは神だろう.。なぜ悪を選ばせた?」「神のお考えは分からない」・・・。ピエールとジャンのやり取りだ。神と人間の関係、善悪と神と教義への疑問、キリスト教という宗教をめぐる様々な諸説と争い、正統と異端の歴史。教会と信仰の違い。宗教をめぐる人間たちの悩みと論争は尽きることはない。


1968年製作/102分/フランス・イタリア合作
原題または英題:LA VOIE LACTEE
配給:フランス映画社

監督:ルイス・ブニュエル
製作:セルジュ・シルベルマン、ウリ・ピカール
撮影:クリスチャン・マトラス、ベルナール・ノワゼット
美術:ピエール・ギュフロワ
キャスト:ポール・フランクール、ローラン・テルジェフ、アラン・キュニー、エディット・スコブ、ベルナール・ベルレー、ベルナール・ミュッソン、フランソワ・メストル、クロード・セルバル、ドゥーキング、ジャン=クロード・カリエール、ミュニ、ジュリアン・ベルトー、ミシェル・ピコリ、クリスティーヌ・シモン、エレン・バール、アニエス・カプリ、ミシェル・エチェベリー、ピエール・クレマンティ、アウグスタ・カリエール、ジョルジュ・マルシャル、ジャン・ピア、ドニ・マニュエル、ダニエル・ピロン、クラウディオ・ブルック、マルセル・ペレス、ジュリアン・ギオマール、クロード・ジュテール、ピエール・マグロン、デルフィーヌ・セイリグ
☆☆☆3
写真引用(C)Tamasa Distribution

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