助監督でもある鈴木則文が脚本にも名を連ねている。鈴木則文は後に『トラック野郎』シリーズなどを撮る。明治も末期の頃。車屋の辰五郎(内田良平)は東京から新盛り場大阪へと流れて来た。大阪駅前は西川組の縄張りだが、車屋の辰は一匹狼で喧嘩っ早い。自分の人力車に客として乗せた人気美人芸者の喜美奴(桜町弘子)と口げんかになり、車ごと彼女を川の中に放り込んでしまうが、それがかえって縁となってすっかり彼女に惚れ込んでしまう。それを聞いて、ふだん喜美奴をひいきにしていた西川一家の親分・弥三郎(曽我廼家明蝶)は、2人を一緒にさせてやろうと言いだすのだが…。互いに好き合いながらもなぜかすれ違いを繰り返す2人のままならぬ恋路を加藤泰監督が軽妙に描いた痛快純愛劇。
加藤泰が得意のローアングルの引きのショットにアップをテンポよく挟みながら軽快に進んでいく恋とヤクザと喧嘩の世界。若く勉強熱心で東京へ行く夢を持つ弟分・河原崎長一郎と若い芸者の富司純子(若い!)のカップルの悲劇が最後の復讐劇へとつながっていく。馬鹿で一本気な車夫の内田良平と芸者の桜町弘子の2度の結婚式が中断されすれ違った二人の思いは、最後に霧の中の橋の上で3度目の結婚式を二人だけで挙げて成就する。この橋のシーンは素晴らしい。北島三郎がチョイ役で出演し、映画の主題歌を歌っている。
1964年製作/99分/日本
配給:東映
監督:加藤泰
脚色:加藤泰、鈴木則文
原作:紙屋五平
企画:坂巻辰男、日下部五朗
撮影:川崎新太郎
美術:井川徳道
音楽:高橋半
録音:中山茂二
キャスト:内田良平、桜町弘子、河原崎長一郎、富司純子、曽我廼家明蝶、千原しのぶ、大木実、宗方奈美、近衛十四郎、吉川満子、曽根晴美、那須伸太朗、汐路章、北島三郎、徳大寺伸、横山アウト
☆☆☆3
写真引用

東映
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