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2025年09月19日13:46

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「旋風の中に馬を進めろ」モンテ・ヘルマン〜荒野を彷徨う男たち〜

モンテ・ヘルマン監督作品は一作も見ていない。見たいと思ってU-NEXTを検索したが、この作品しかなかった。『断絶』(1971)や『果てなき路』(2010)はいつか見たいと思う。モンテ・ヘルマンは「B級映画の帝王」ロジャー・コーマン門下であり、『断絶』の興行的失敗でハリウッドから干され、アメリカ映画界において“呪われた伝説の監督”とも言われている。クエンティン・タランティーノのデビュー作『レザボア・ドッグス』(1992年)の製作総指揮をつとめている。本作はジャック・ニコルソンが主演・製作に加わり、脚本を書いている。最初、若いジャック・ニコルソンが分からなかった。

西部劇なのだが、基本パターンではない作りをしていて面白かった。町にさすらいの腕利きガンマンがやって来るパターンではなく、さまよう荒野が舞台である。逃げるもの、追うもの、旅をしているうちに巻き込まれてしまうものたちのドラマなのだ。スター主義的な映画ではない。

最初、荒野で馬車を襲う強盗団が描かれる。そして町に着いた駅馬車を迎える自警団のメンバー。さらに、その盗賊たちとは別の3人組が馬で荒野を旅している。その3人が荒野で見つけるのが縛り首で処刑され木にぶら下がっている男。馬が死臭を感じて近づくのを嫌がっていた。その3人組が強盗団のアジトである小屋にたどり着く。物語は誰が主役なのか最初分からない。強盗団たちなのか、町の自警団なのか、それとも旅する3人組なのか。強盗団の5人と旅の途中の3人が小屋の中に入って、お互いがお互いの様子を伺う場面は独特の緊張感が孕む。知らない者たち同士が荒野で出会う。ならず者たちなのか、敵なのか味方なのか、単なる通りすがりなのか・・・。駅馬車を襲った強盗団は、町の自警団が自分たちを捕まえに来ることを警戒していた。3人組は、そんな不穏な気配を感じながら、一晩泊まり、酒と食事を提供してもらう。「あまり関わり合うのはよそう」、「翌朝早くにここを出よう」と言っていた3人組。ところが、朝早く銃声が聞こえ、自警団たちがこの小屋を取り囲んでしまった。3人組のバーン(キャメロン・ミッチェル)、オーティス(トム・ファイラー)、そして二人より年の離れた若いウェス(ジャック・ニコルソン)。テキサス中部の町ウエイコを目指しているカウボーイたちなのだが、何があって旅をしているのか、詳細は語られない。ただ、一晩この場所に泊まったがために、強盗団一味と一緒にされ、捕まったら「縛り首」にされてしまうという事態に陥ってしまったのだ。

冒頭に出てくる「縛り首」の映像が、最後まで3人の頭の中を占め、観客もその死に強く囚われる。包囲されて小屋を焼かれて捕まった強盗団の2人は、結局、自警団のメンバーに縛り首にされる。「縛り首」が反復されるのだ。映画は強盗団たちの背景も、自警団たちのこともあまり描かれない。単純に追うものたちと追われるものたちのアクションのドラマになっていく。3人組のうち、オーティスは自警団の銃に撃たれ、バーンとウェスの二人が馬を捨てて山を越えて歩いて逃げる。ウェスが「もう歩けない」などと音を上げるのを、バーンが諭す。「縛り首はイヤだろ」。そして人里離れた場所で一家が暮らす家にたどり着く。ここで初めて女性が登場する。父親のエヴァン(ジョージ・ミッチェル)は妻と娘のアビゲイル(ミリー・パーキンス)と3人で暮らしている。バーンは妻から「寂しそう」と言われ、バーンとウェスはチェッカーのゲームをしながら「いつまで続くんだ?」と愚痴る。「縛り首」にされないように逃げ続けるしかない人生。牧場を始めて定住することを夢見つつ、彷徨うしかない男たちの物語だ。最後はバーンが撃たれ、怪我したバーンを連れて二人で逃げようとするウェスだったが、バーンは「二人では追いつかれるから俺をここで降ろせ」と言う。そして追手と銃撃戦をしながら逃げるウェスのために時間稼ぎをして死んでいく。ウェスは一人、荒野の風の中を馬を走らせるのだった・・・。

背景や心理を描かないことで、ただ荒野で馬に跨がり彷徨う男たちを描いている。そこにたいした理由はないのかもしれない。過去のわだかまりや旅を始めたいきさつは観客が想像するだけ。ただ彷徨う男たちの姿がここにある。


1966年製作/82分/アメリカ
原題または英題:Ride in the Whirlwind

監督:モンテ・ヘルマン
製作:ジャック・ニコルソン、モンテ・ヘルマン
脚本:ジャック・ニコルソン
撮影:グレゴリー・サンダー
音楽:ロバート・ドラスニン
キャスト:ジャック・ニコルソン、キャメロン・ミッチェル、ミリー・パーキンス、ハリー・ディーン・スタントン、ルパート・クロス、キャサリン・スクワイア、ジョージ・ミッチェル、ジョン・ハケット、トム・ファイラー
☆☆☆☆4
写真引用コピーライト 1965 Proteus Films. All rights reserved.
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