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2025年04月25日17:33

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「秋立ちぬ」成瀬巳喜男〜大人の事情に振り回される子どもたちは海へ〜

長野の田舎から都会に連れてこられた小学校6年の男の子(大沢健三郎)と東京の旅館の妾の母親の娘、小学校4年生の女の子の順子(一木双葉)とが寂しい家庭環境の中で出会い、ともに海を見に行く物語である。

乙羽信子が若い。長野で夫を亡くして男の子の秀男を連れて銀座裏に八百屋をしている叔父(藤原釜足)の店に身を寄せるため上京した。秀男は藤原釜足の妻の賀原夏子と長男の夏木陽介の下で八百屋で働きながら暮らす。デパートに勤めている長女の原知佐子もいるが、八百屋は手伝わず遊び回っている。母の乙羽信子は、近くの旅館「三島」で女中として息子と離れて住み込みで働き出した。ところが、旅館の常連客で真珠商の加東大介とデキてしまい、二人で熱海へ駆け落ちしてしまうのだ。一人残された秀男は、旅館の娘の順子と仲良くなるのだが、順子の母の藤間紫は大阪に本宅があり月に2〜3回やってくる河津清三郎の二号だった。順子は母にどうして父親には妻が二人いるのか?問いただす。あるとき、順子はお父さん(河津清三郎)が上京したので銀座で食事するために母と一緒に会いに行くのだが、本宅の兄や姉も来ていて兄たちに意地悪をされる。順子は八百屋の秀男を兄にして一緒に住めないかと母に頼むのだが聞き入れてもらえない。そして二人は、「家に帰りたくない」と行って海を見に、月島の埋立地に行くのだった。

小学校4年生の順子は旅館のお嬢さんで、しゃべり方がおませな感じで、方言まる出しの秀男とは正反対。順子は秀男をデパートに連れ出し、屋上から遠くの海を見せる。長野暮らしで海を見たことがない秀男は、海が憧れだ。山暮らしの秀男はカブトムシを飼っていて順子の宿題のために貸すことを約束するが、部屋で逃げ出してしまい、東京でカブトムシを捕まえようとする。夏木陽介に多摩川に連れて行ってもらうが、なかなか捕まらない。駆け落ちした母のことを忘れようと、傷心の秀男は順子と二人で家出のようにして月島の埋め立て地で海を見に行くのだが、秀男が思ったような青い海ではなかった。秀男は足を怪我して、二人は警察に保護されて家に帰ってきて怒られる。夏休みも終り頃、長野のおばあさんから秀男にリンゴが届き、そのリンゴ箱の中からカブトムシが出てきた。やっと順子に約束のカブトムシを渡せると思って、秀男は旅館の三島に行ったのだが、旅館は売り払われ、順子は引っ越してしまっていた。秀男はかつて順子と行ったデパートの屋上で、カブトムシを手に遠くの海を見るのだった。

乙羽信子が加東大介と駆け落ちして後半はまったく出てこない。少年と少女の物語になっている。夏木陽介がバイクを乗り回し、女の子たちと遊びながらも秀男の面倒を見る良き兄貴分といった感じ。賀原夏子も藤間紫も旅館の女中の菅井きんも大人たちは一人残された秀男に冷たい。大人の事情に振り回される子どもたちの厳しい現実が描かれて終わる。


1960年製作/79分/日本
原題または英題:Showdown on Pier No.3
配給:東宝

監督:成瀬巳喜男
脚本:笠原良三
製作:成瀬巳喜男
撮影:安本淳
美術:北辰雄
音楽:斎藤一郎
録音:斎藤昭
照明:隠田紀一
キャスト:大沢健三郎、乙羽信子、一木双葉、藤間紫、藤原釜足、賀原夏子、夏木陽介、原知佐子、加東大介、綿田仁、菅井きん
、三田照子、河津清三郎
☆☆☆3
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