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2025年03月10日19:29

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「散りゆく花」D・W・グリフィス〜映画史に残る悲しみの笑顔〜

U-NEXTに入ったのでいろいろと見逃している古い映画を見ている。映画史的に有名な1919年の無声映画だ。リュミエール兄弟が1895年パリで映画をシネマトグラフとして発明し、ワンシーン・ワンカットの固定カメラによる「記録性」としての映像を世界に示した。そしてその「記録性」とともにある映像の「断片性」からフィクションの世界を作り上げたのがアメリカの「映画の父」、D・W・グリフィス(デイヴィッド・ウォーク・グリフィス 1875-1948)であると言われている。クロスカッティングやクローズアップなどの映像技法を発明しただけでなく、カメラのフレームの外に広がる無限の時空間を観客に想像させることによって、新たな時空間を再構成し、物語を創造した。そして映像を編集することによって巧みに観客の感情を喚起させた。(※『他なる映画と 1』濱口竜介・著 参照)

この74分の作品でも、リリアン・ギッシュを優しく看病する中国人青年のリチャード・バーセルメスの部屋の様子と、暴力的な父親のドナルド・クリスプのボクシングシーンがクロスカッティングされており、恋愛の善なる美と野蛮なる悪なる暴力が対比的に描かれている。映画史的にも有名な仕草、リリアン・ギッシュが「口の両端を指で押し上げて無理に笑顔を作る演技」は、死の間際でも繰り返されるところがなんとも痛ましい。

鉈を持って扉を壊す狂気のような暴力を振るう父親のドナルド・クリスプが小さな部屋の閉じこもったリリアン・ギッシュを襲う場面は、まさにスプラッター映画であり、その誇張の仕方が凄い。今見ると、クローズアップの過剰で大げさな演技がやり過ぎだと思うが、当時としてはこの誇張された画面が驚きと恐怖とともに観客の心に迫ったのだろう。争うことことだけでは解決しない仏教の慈悲の教えを説くためにイギリスに渡った中国人青年が、夢破れて貧民街で阿片などを吸引しながら落ちぶれて雑貨店を営んでいる。その無表情な顔と暴力的な父親のドナルド・クリスプの怒りに満ちた顔がなんとも対照的だ。好きな花を買う金もなく雑貨店で好きな人形を見つめるリリアン・ギッシュと店の中から窓越しにそれを見つめるリチャード・バーセルメス。ロンドンの街に広がる霧とシルエットの人影。ラストはみんな死んでしまう悲劇で終わる。

1919年製作/74分/アメリカ
原題または英題:Broken Blossoms or The Yellow Man and the Girl

監督・脚本:D・W・グリフィス
撮影:G・W・ビッツァー
キャスト:リリアン・ギッシュ、リチャード・バーセルメス、ドナルド・クリスプ、アーサー・ハワード
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