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2020年03月15日19:06

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「ルーベ、嘆きの光」アルノー・デプレシャン レビュー

WOWOWでアルノー・デプレシャンの劇場未公開作品らしい。第72回カンヌ国際映画祭に正式出品で最新作だ。アルノー・デプレシャンは『クリスマス・ストーリー』ぐらいしか観ていない。

フランス北部のベルギー国境近いルーべという町の警察署の話だ。警察署長の北アフリカ系のタウード署長が知的で落ち着いた物腰で映画全体のトーンとなっている。その署長を演じるロシュディ・ゼムという役者がいい。

映画はクリスマスの夜、あちこちで犯罪が起きる荒れた町の夜がまず描かれる。ドキュメンタリ−のように次々と無線で事件が報告され、警察官が現場に向かう。車が燃やされ、喧嘩があり、ピストル強盗や少女暴行事件や放火事件など、町は移民であふれ、貧民街があり、チンピラや生活困窮者など犯罪は日常茶飯事のようだ。この町に来たばかりの若い警官がいて張り切っている。真面目な警察署長がそんな彼をたしなめながら、無駄口などたたかず事件や町の人々に誠実に向き合っている。署長の家族は北アフリカに帰り、甥は刑務所にいて問題あり。それでも一人、生まれた町で警察署長をやっている。詳しい彼の人生の背景は語られない。自ら家出人の少女探しに出かけたり、現場にも出向く。

前半は小さな事件が次々と起こり、署内での取り調べや別の事件の聞き込み捜査など展開が早い。セリフが矢継ぎ早やで、大きな物語は起こらず、淡々と進む。放火事件の捜査になってやっと物語が絞られてきて、後半は目撃者として参考人だった女性二人(レア・セドゥとサラ・フォレスティエ)がその後に起きた老女殺人事件と関りがあると見られ、その取り調べが物語の中心となっていく。

いずれにしても派手なストーリーはない。ルーべという町の警察署で起きる様々な事件、それを管轄する署長をはじめ奔走する刑事たち。そして犯罪とかかわる人々がリアリティのある描写で描かれていく。物語が中心ではないのだ。あくまでも町に生きる人々を描くことに主軸が置かれている。そこが面白く見応えがある。大げさなドラマなどなくても、映画の魅力に満ちている。人間が生きていくことの難しさや哀しさや慈しみみたいなのが描かれている。署長が馬好きで、夜の競馬場のシーンで終わるのだが、その終わり方がちょっとホッとする感じでいい。

2019年 フランス
原題:Roubaix, Une lumière
監督:アルノー・デプレシャン
出演:レア・セドゥ ロシュディ・ゼム サラ・フォレスティエ アントワーヌ・レナルツ アントワン・ライナルツ

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