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2018年08月30日22:50

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命が長くとも−漫葉集(0008)

【訓読】
「何せむに命をもとな長く欲りせむ
生ける我が思ふ妹にやすく逢はなくに」(2358)
【原文】
何為 命本名 永欲為 雖生 吾念妹 安不相
【訳】
「何だって、命を、むやみやたらと長くあってほしいなどと願おうか。こうして生きていたって、私がいとしく思うあの子にたやすく逢えもしないのに。」(巻第十一)

「訓読」と「訳」は、伊藤博 訳注『新版 万葉集(三)』(角川文庫・2009年)巻十一より。
(歌番号は旧「国歌大観」番号による。)

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「逢いたい人に逢えない人生ならば、永らえたとして何になろう」
という心情は、若くて恋愛に情熱的な若者であるならば、共感できるものかも知れない。平安貴族のうたにも、ひょっとすると似たような歌があるかも知れない。しかし、平安の人々であれば、もう少し技巧を凝らすだろう。ここに見られる率直さは、やはり万葉風なのかも知れない。

この歌の趣旨からは離れるが、万葉集の巻十一、巻十二を見ていると、やたらと「恋に死ぬ」歌が出てくる。そんな中から、万葉の時代の恋心というものも、感じられるようになるかも知れない。

■漫葉集-萬葉集に関する日記の目次
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