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2017年07月09日13:00

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伝統的七夕(再論)

平安時代・鎌倉時代の古典を読むようになって感じたことのひとつに、行事と季節感の問題がある。
代表的なものが「七夕」で、 勅撰和歌集などを読むと、太陽暦の7月7日に「七夕」の祭をすることに相当の違和感がある。
たとえば、古今和歌集や新古今和歌集では、七夕の歌は「秋歌」の巻に入れられ、秋風の歌の後に載せられている。
梅雨も明けず、これから盛夏を迎える新暦の7月上旬に次のような歌を読んでもピンとこない。

■秋風の吹きにし日より久かたの天の河原に立たぬ日はなし
古今和歌集(173)より
http://www2s.biglobe.ne.jp/~Taiju/905_kokin_01-06.htm#04

■七夕の天の羽衣うち重ね寝る夜涼しき秋風ぞ吹く
新古今和歌集(318)より
http://www.karuta.ca/koten/koten-kan4.html

閏五月のある今年は、旧暦の七夕は8月28日とのことで、その頃になれば、こうした歌にも実感が沸いてくるかも知れない。

ちなみに、中国、台湾、韓国、ベトナムなどの他の東アジア諸国では、七夕などの歳時記は旧暦(太陰太陽暦)に従うようだ。新暦の7月7日に七夕をやる日本(の多数派)は、国際的には少数派だ。
日本人の気質の中に、一種奇妙な「こだわりの無さ」を感じることがあるが、これもそのひとつのような気がする。明治初期の社会変動の中では、七夕の季節感が変わることなども些細なことだったのかも知れない。

以上は「文系」的な観点だが、「理系」の総本山?である国立天文台も、旧暦による七夕を「伝統的七夕」と呼んで「広く報じていくこと」にしている。
■伝統的七夕について教えて
https://www.nao.ac.jp/faq/a0310.html

理系的観点からすると、旧暦の7日は、だいたい月齢が6であり、深夜になれば月も沈んで「天の川」を肉眼で見やすいということがあるのだと思う。また、梅雨の時期は天体観測に適さないということもあるだろう。個人的な印象としても、綺麗な天の川を見た記憶は、7月よりも8月の方が多い。

■伊勢物語「彦星」(第95段)(2016年07月07日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1953938224&owner_id=2312860
■伝統的七夕(2012年07月07日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1857237677&owner_id=2312860

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